立山砂防「重要な価値」 富山で国際シンポ、世界遺産へ課題議論

立山砂防の価値や世界遺産登録に向けた課題を議論したシンポジウム

 立山砂防についての国際シンポジウム「日本固有の防災遺産-立山の防災システムを世界遺産に-」が21日、富山市の富山国際会議場で開かれた。国内外の有識者らが立山砂防の防災面や土木技術面の価値や世界遺産登録に向けた課題を議論。「世界で唯一無二の防災遺産」「世界の人々に魅力を知ってもらう発信や、さらなる学術研究が必要」などの意見が出た。

 筑波大大学院の下田一太准教授が「日本の世界遺産の動向~資産形成と推薦へのアプローチ~」と題して講演。県が世界文化遺産登録に向けた取り組み状況を紹介した。

 パネルディスカッションでは下田准教授のほか、中国・清華大の呂舟国家遺産センター長、韓国・慶星大学校の姜東辰教授ら5人が登壇した。姜教授は「立山砂防は災害を克服するために作られた近代土木技術の集合体。今も人々を災害から守っており、重要な価値がある」と説明。呂センター長は近代の産業遺産の世界遺産登録はまだわずかだとし、「多くの人に興味を持ってもらう工夫が必要」と述べた。

 会場とオンラインを合わせて約500人が聴講した。県世界遺産登録推進事業実行委員会主催。

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