近代美術に偉大な足跡 北茨城、天心サミット開幕 7年ぶり 演奏や書簡朗読

壌晴彦さんが岡倉天心の書簡を朗読した天心サミットの特別企画=北茨城市大津町

近代美術の発展に偉大な足跡を残した美術思想家、岡倉天心(1863~1913年)ゆかりの全国4カ所の顕彰会が集い、その業績をたたえる「天心サミット」が21日、茨城県北茨城市で開幕した。同市でのサミット開催は7年ぶり。初日は特別企画として演奏と解説を添えた天心の書簡の朗読が行われ、各顕彰会員や一般参加者など約100人が聞き入った。

サミットは、天心が日本美術院を移した同市五浦、福井藩士だった父親にちなんだ福井市、天心生誕の地の横浜市、終焉(しゅうえん)の地の新潟県妙高市の各顕彰会が毎年持ち回りで開催し、今年で25回目。当初、北茨城市は2020年の担当だったが、新型コロナウイルスの影響で延期や中止が続いていた。

同市大津町の県天心記念五浦美術館で行われた書簡の朗読は、俳優や演出家などとして活躍する壌晴彦さんが出演。映像を用いながら、合間にクラシックの演奏と茨城大人文社会科学部の藤原貞朗教授による解説が添えられた。父親としての心情が伝わる長女高麗子への手紙や、米ボストン美術館に勤めていた際、仏像購入のために書いた手紙など、年代や宛先の異なる5本の書簡が披露された。

五浦日本美術院岡倉天心偉績顕彰会の桂木なおこ副会長は「書簡を通じて天心の人間性に近づいてほしい。サミットでは会員が高齢化する中での顕彰会の活動や、若い人に向けた取り組みを考えていきたい」と話した。

サミットは22日まで開催。2日目は各顕彰会の活動報告や情報交換などを行い、天心サミット五浦宣言を採択する。

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