犬の死亡原因一位の『がん』 5つの種類やそれぞれの初期症状に「定期健診いこう」「日頃の観察が大切だ」

犬の死亡原因、第一位は『がん』

国内で調査されている犬の死亡原因は、長らく『がん』が最も多い死因として挙がっています。最新の調査によると犬の死因の上位18.4%ががん、次いで「循環器疾患」「泌尿器疾患」が続いています。

悪性腫瘍は、はじめは無症状のことが多く、気付いたときには体中に転移しており末期状態だった…というケースも少なくありません。

日頃から少しでも異変が見られた場合はかかりつけの動物病院を受診したり、年に1〜2回の定期検診で早期発見を目指しましょう。

代表的な『がん』5つとそれぞれの初期症状を解説

死亡原因として最も多い『がん』ですが、がんと言ってもさまざまな種類があります。ここでは、犬によく見られる『がん』の種類とそれぞれの初期症状を紹介するので、愛犬に初期症状が現れていないか日々チェックしましょう。

1.肥満細胞腫

肥満細胞腫は、体の中にある肥満細胞が悪性腫瘍になってしまったものを指します。皮膚の下にできることが多く、皮膚がんの中でも最も多く確認される疾患として知られています。

初期症状として異変が見られることは少ないですが、ボコッとした小さなしこりができるのが特徴的です。毎日スキンシップを通して皮膚に異変がないかチェックしてください。

2.乳がん

メスの犬によく見られるがんの種類として、乳がんが挙げられます。特に避妊手術を受けていない犬に多く見られるので、避妊手術を受けていないメスの犬を飼っている飼い主さんは要注意です。

初期症状は、乳腺の周りに固いしこりができるのが特徴的です。触った時にコリッと固い塊のようなものが確認できたら、乳がんの可能性が疑われるので早期に検査を受けましょう。

3.肝細胞がん

犬の肝臓腫瘍の中でも最も多く確認されている肝細胞がんは、さまざまなタイプがあり、がんの発生状態によって治療法も大きく異なります。

肝細胞がんの厄介な点は、初期段階でわかりやすい症状が現れない点です。食欲不振や元気消失、多飲症状など見逃してしまいがちなほんの些細な症状ばかりなので、飼い主さんの鋭い観察眼と直感、そして定期的な検診が早期発見の鍵となります。

4.リンパ腫

血液のがんの1つとして知られるリンパ腫は、犬で見られるがん疾患の中でも特に多く確認されているので注意が必要です。種類によって現れる症状も異なるため、異変を感じたら、かかりつけの動物病院へ連れて行くことが重要となります。

初期段階で見られる症状として体の表面のリンパ節が大きくなる、下痢や嘔吐などの消化器症状、息苦しそうな様子を見せるなどの症状が現れます。他にも顔面や足のむくみなどが見られるので、日頃から愛犬の状態を注意深く観察しておきましょう。

5.骨肉腫

骨肉腫も犬に見られるがん疾患として事例が多いです。初期段階では症状が見られないことが大半なので、定期的な健康診断などで発見してもらう必要があります。

歩き方に違和感を覚えたり、運動をしなくなったり元気がなくなるなどの症状が見られるようになりますが、症状が現れた時には腫瘍が進行しており、全身にがんが転移していることも珍しくありません。

まとめ

いかがでしたか。犬の死亡原因として最も多い『がん』は、早期発見そして治療が重要な鍵となります。がんの種類によっては初期段階で症状が見られないことも多いので、年に1〜2回を目安に定期検診を受けてください。

(獣医師監修:後藤マチ子)

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