犬の『置き餌』が危険な理由4選! その理由とトラブルを避けるための工夫まで

犬の「置き餌」が危険な理由

犬の食が細い場合や、長時間留守にする場合、途中でお腹が減ったらかわいそうという飼い主さんも多く、ついついやってしまいがちなのが「置き餌」です。これは、お皿にフードやご飯を入れっぱなしにし、愛犬がいつでも食べられるようにしいる状態の事を指します。

犬にとっては食欲が出たときに食べられて良いように見えるこの置き餌ですが、実は危険な行為である理由が存在します。

1.不衛生になる

犬用のドライフードは水分量を極端に減らして長期保存ができるように加工されています。しかしその反面、いざ袋から器に出してしまうと湿気を吸いやすいという特徴があります。

またちょっと食べたけど食べるのをやめてしまったから、そのまま置いておいたという場合は犬の唾液や器の水分から雑菌が繁殖する可能性が高まります。たとえば大腸菌は20分ほどで倍量にまで増えるため、数時間放置すると犬が食中毒にかかる危険があるのです。

犬の健康を考えて保存料を使用していないフードや、半生タイプのフード、手作り食などを与えている場合は、特に食中毒に注意が必要です。

2.いつでも食べられると勘違いする

犬は基本的に食べることが大好きなので、おやつを用いたトレーニングが有効です。しかしそれが置き餌の状態になっていると「ガッついて食べなくても、いつでも食べられる」と食べ物に対する執着が薄くなってしまいます。

食べ物への執着が薄くなると、ますますご飯を食べなくなるばかりか残してしまう、という悪循環につながったり、おやつへの興味も減退してしつけトレーニングがやりにくくなったりという問題が発生します。

3.健康状態が分からなくなる

犬の健康状態をはかるには、食欲も重要なチェック項目のひとつです。

毎日のごはんを置き餌にしてしまうと、愛犬の1回のごはんでの食いつき状況や食べた量などを正しく把握することが出来ません。そのため、愛犬に食欲があるのかないのか、便通は通常通りかなどを確認することが難しくなります。

4.消化不良となって悪循環に陥る

動物の体は、空腹を感じることで消化液の分泌が盛んになり、そこへ食べ物が入ることで消化活動が促進されます。

しかし、いつでも食べられるという状況が続くと空腹を感じることが少なくなり、消化液の分泌が減少して消化不良を起こすことがあります。

また常にちょっとずつ食べている、常に何か食べている状態が続くことで血糖値が下がりにくくなり、動脈硬化や糖尿病などの病気のリスクも上がります。

つまり、置き餌にしていつでも食べられる状態になっているのは、愛犬の健康にとっても危険である可能性があります。

「置き餌」にすることで起こるトラブルを避けるための工夫とは

上記のようなトラブルを起こさないように、飼い主として愛犬への餌の与え方を工夫する必要があります。

今まで「置き餌」で済ませていた飼い主さんの場合は、以下の方法を取り入れることをおすすめします。

  • 決まった時間に決まった量を与える
  • 時間を決めて食べなければ引き上げる
  • 残った分は処分する

まずはこの3点に気を付けてみましょう。

健康な犬の場合、1日の食事量を朝晩の2回に分けて与えるのですが、食が細い子や消化能力の低い子犬・老犬には小分けにして1日3回、4回で与えても良いでしょう。

ただし、食べてよい時間は1回につき15分~20分程度と決め、30分経っても食べきらない場合は引き上げて処分します。

しっかりと食事のリズムを作ってあげることが大切です。次第に慣れてくると、犬は「この時間に食べておかないと、ご飯が取り上げられる」と学習するので、よほどのことがなければ出されたときにきちんと食べるようになります。

食べた量、食いつきなどはその時点での様子を観察することで、健康観察の代わりとします。残した量などからも推測ができるかもしれません。いつもより食いつきが悪かった、全く食べなかったという場合は何らかの体調不良かもしれません。

まとめ

今回は、犬の「置き餌」が危険な理由について解説しました。

「愛犬がお腹を空かせていてはかわいそう」「愛犬が食べ終わるのを待っていられない」というのは、逆に犬にとっては危険だということがお分かりいただけましたでしょうか。

最悪、治療が難しい動脈硬化や糖尿病等の病気に繋がってしまう場合もあります。

愛犬の健康と長生きためにも、置き餌ではなく、本来あるべき方法で決まった時間とルールでしっかりご飯が食べられるように配慮してあげましょう。

(獣医師監修:寺脇寛子)

© 株式会社ピーネストジャパン