もんたよしのりさん大動脈解離で死去、72歳 この病気の怖さとは

(公式ブログより)9月にNHKの歌番組に生出演した際の様子

「もんた&ブラザーズ」のボーカルとして長年活躍し、「ダンシング・オールナイト」のヒット曲で知られる、シンガーソングライターのもんたよしのりさんが、大動脈解離のため18日に死去していたと所属事務所が公式ブログで発表した。72歳。すでに親族のみで葬儀を終えたという。

「あまりにも突然のご報告となりますが」

 22日、公式ブログを運営する所属事務所のMonta Music Companyが「ご報告」のタイトルで記事を更新。「あまりにも突然のご報告となりますが、10月18日朝、もんたよしのりは大動脈解離で永眠いたしました。72年の生涯でした」と発表した。本人の希望通り親族のみでの葬儀を執り行ったという。「とても穏やかな顔で旅立ちました」と報告した。

 「あんなに元気でいつもパワフルだったもんたが、天国へ向かうなんて、今もまだ信じられない気持ちでいっぱいです」と突然の旅立ちに関係者も気持ちの整理がついていないと告白。お別れの会を後日開くとしている。9月にはNHKの歌番組に出演するなど、精力的に活動していたもんたさんの命を突然奪ったこの病気について解説する。

高血圧の人は要注意 発症すると即、生命の危機も

 急性大動脈解離という病気はほとんどの場合、慢性高血圧を持病とし、動脈硬化がみられる人が発症する非常に恐ろしい病気だ。心臓から送り出される血液を体全体に送り出す、すぐそばの「大動脈」の内側に突然亀裂が入り、そこに血流が流れ込んで大動脈の血管壁が2つに裂けてしまう。心臓からもっとも近い位置にあるため血圧は高く、場合によってはそのまま大動脈が破裂するなど非常に深刻な事態を引き起こす。

 病態は、裂ける場所によって大きく2つに分けられるが、深刻なのは心臓から出る上行大動脈で大動脈解離が発生した場合だ。この場合、一分一秒を争うレベルで緊急手術が必要になる。なぜなら、裂けた大動脈からこぼれ出る血液が行き場をなくして心臓を圧迫する、裂け目が心臓本体の弁まで大きくなる、暴れる血流を止められず冠動脈を圧迫損傷して急性心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすなど、すぐに生命の危機を迎える可能性が非常に高いからだ。実際、手術をせずにいると、発症後15分では20%弱、24時間で40%弱、1週間以内に70%以上の患者が死亡するという統計データも出ている。

 この病気はほとんどの場合予兆もなく突然発症し、患部によっては即死に近い状況になるという本当に恐ろしい病気だが、この病気のリスクを下げるためには高血圧と動脈硬化にならない生活をするしかない。つまり、やはり健康的な食事と適度な運動を心がけることが大事ということになる。

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