リベンジバーディで「涙が出そう」 久常涼はPGAツアー切符かかるラスト3戦へ

1年前に涙した大会でトップ10入り(撮影/大澤進二)

◇日米ツアー共催◇ZOZOチャンピオンシップ 最終日(22日)◇アコーディア・ゴルフ習志野CC(千葉)◇7079yd(パー70)

最終18番(パー5)、久常涼がバーディ締めで繰り出したガッツポーズの意味を多くのゴルフファンも知っていたはずだ。「去年の悔しさを思い出して、うれしくて涙が出そうでした」。前年大会はこの72ホール目でボギーを喫し、トップ10入りに1打届かなかった。

3年連続の出場となったこの舞台を「自分が世界を知ることができた大会」と表現する。初出場の2021年は初対面の松山英樹と練習ラウンドをともにする機会に恵まれ、昨年は現実の厳しさと同時に確かな手応えも得た4日間だった。

「昨年のリベンジが僕の中でひとつのモチベーションになって1年間プレーしてきた。ヨーロッパでの経験もこの試合で出そう、と」。今季から日本ツアーを飛び出し、9月「カズーオープンdeフランス」で日本勢3人目の欧州ツアー優勝も果たした21歳の心の中で常に大きなターゲットとしてあったのが「ZOZO」だった。

上位争いのプレッシャーで「しびれ倒していた」前年から心身ともに著しく成長を遂げたプレー。厳しいピン位置に対しても攻めるところはしっかり攻め、ボギーなしの「66」で通算6アンダー6位に入った。「今年は優勝を目指してプレーしていましたし、欲を言えば、もっと上を目指したかった」という貪欲な言葉も、来季からのPGAツアー挑戦が現実味を帯びてきているから。

次戦はカタール。正念場のラスト3試合(撮影/大澤進二)

有資格者を除く上位10人に2024年のPGAツアー出場資格を付与される欧州ツアーの年間ポイントレースで圏内につけて残り3試合。今回のトップ10入りによって出場資格を得たPGAツアー「ワールドワイドテクノロジー選手権」(メキシコ・エル・カルドナル at ディアマンテ)出場は欧州ツアーのカタールと南アフリカの2試合に挟まれたスケジュールになり、見送るつもりだ。

来日していたPGAツアーの広報スタッフから「来年のPGAツアー行きも確実だと思いますが…」と話を振られ、表情を引き締めた。「(何としても)来年、PGAでプレーしたい。そこに行くには、まだ気も許せない。(残り3試合で)早いうちに確定させられるようなプレーをしたいですし、今はそこに集中したい」。一時帰国でたくましくなった姿を母国のファンに披露し、再び世界を股にかけて戦う日々が始まる。(千葉県印西市/亀山泰宏)

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン