守備力がフィリーズの意外な強みに ハーパーの一塁挑戦がポイント

本塁打量産中の強力打線、ダブルエースがしっかりと役割を果たしている先発投手陣、速球派がズラリと並ぶブルペン。フィリーズには非常にわかりやすい長所があるが、MLB公式サイトのマイク・ペトリエロ記者は、フィリーズの意外な強みとして守備力に注目している。昨季は球界ワーストレベルだったフィリーズの守備力はどのように向上したのか。そこでは、トミー・ジョン手術から早期復帰したスーパースターの一塁挑戦が大きな役割を果たしていた。

フィリーズは今年のプレーオフでインプレーになった打球の72.9%をアウトにしている。ペトリエロ記者によると、これはピッチトラッキングが開始された2008年以降のプレーオフで上位に入る数字であり、今年に限って言えば、アストロズの72.7%やレンジャーズの70.0%を上回っている。レギュラーシーズンではメジャー16位の68%だったことを考えると、守備陣の頑張りが非常に目立つ。また、ゴロの打球の被打率は.191という好成績。レギュラーシーズンではメジャー14位の.248だったが、プレーオフでは数字が大きく向上している。

では、フィリーズの守備力はなぜ安定するようになったのか。ペトリエロ記者が最大の要因として挙げているのは、レギュラー不在で日替わり起用となっていた一塁にブライス・ハーパーを固定できるようになったことだ。ハーパーが一塁でOAA+2と平均以上の守備力を見せただけでなく、ハーパーの一塁転向でDHが空き、左翼でOAA-19という絶望的な数字を記録していたカイル・シュワーバーをDHに固定できるようになった。また、一塁が固定され、一塁守備に苦戦(OAA-6)していたアレック・ボームを本職の三塁(OAA+2)に固定できるようになったことも大きい。

さらに、シュワーバーがDHに回ったことで外野の1枠が空き、中堅手として平均以上(OAA+4)の守備力を見せていたブランドン・マーシュを左翼に回し、マーシュ以上の好守を誇るヨハン・ロハスを中堅(OAA+7)に入れることが可能になった。ハーパーが一塁に入ったことにより、内野の守備力が安定しただけでなく、外野の守備力が劇的に向上したのだ。ミスの多い遊撃トレイ・ターナー、守備範囲の狭い右翼ニック・カステヤノスに多少の不安は残るものの、ゴールドグラブ賞経験者の正捕手J・T・リアルミュートも含め、全体的にレベルの高い布陣となっている。

ボームは「ハーパーは何がチームにとってベストかを見抜いているんだ。自分が一塁に入ることがチームにとってベストだと考えたからこそ、一塁に挑戦したのだと思う」とコメント。ボビー・ディッカーソン内野守備コーチも「ハーパーは自分が一塁を守ることがチームの助けになることをわかっていたのだろう」とハーパーの献身的な姿勢を称えていた。

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