【憧れの世界での活躍を目指す】騎手について

競馬の世界では「花形」というイメージがある騎手ですが、騎手として仕事をするためにはどうすればよいのでしょうか?今回の記事では、騎手になるための道のり・必要な資格のほか、騎手になってからの仕事内容などについて解説します。

騎手になるまでの道のり

「騎手になりたい!」と思ったら、まずどんなことから始めればよいのでしょうか?まずは、騎手になるまでの道のりについて見てみましょう。

第一関門は体重制限!

騎手になる人の多くは、競馬学校で騎手になるための研鑽を重ねます。この競馬学校ですが、試験だけでなく受験条件も厳しいことで知られています。

JRAとNARで多少条件は違うものの、下記のような条件を満たさなければそもそも入学試験を受けることができません。
**・体重:44~47kgほど(年齢により0.5kg単位で規定された体重あり)
・視力:裸眼で両眼とも0.8以上(地方競馬では0.6以上)
・騎手業務に支障のない健康状態・聴力・色別能力**
規定体重が40kg台ということで、特に男性にとっては体重制限はかなり高い壁となりそうですね。

ここまで厳しい体重規定があるのは、実際に騎手になってからのレースでは馬ごとに「斤量(きんりょう)」と呼ばれる負荷重量が厳しく決まっているからです。斤量は当該馬が背負う重さの決まりで、この中には騎手の体重だけでなく装備品や鞍も含まれます。

体重が軽すぎた場合は鞍にウエイトを付けることで調整できますが、重すぎる場合は予定していた馬に乗れない可能性も。そのため、受験条件の時点で体重については厳しく規定されているというわけです。

競馬学校は入学・卒業とも狭き門

日本の競馬はJRAによる中央競馬とNARによる地方競馬に分かれています。それぞれが競馬騎手の養成施設を持っているので、中央競馬の騎手を目指す人は「JRA競馬学校」、地方競馬を目指す人は「地方競馬教養センター」に入学するのが一般的です。

入学試験では、下記のような試験が行われます。
**1次試験:身体検査・体力測定・学科試験・面接
2次試験:騎乗実技や面接等(合宿形式)**

冒頭でお話したように競馬学校は受験条件も厳しいのですが、条件を満たして入学試験を受けた場合の合格倍率も10~20倍とかなりの激戦。同じ年度にJRA競馬学校に落ちて地方競馬教養センターを受験する人もいるそうです。

出走するには騎手免許が必要

競馬学校の過程を修了するにはJRA競馬学校で3年、地方競馬教養センターで2年かかります。この間も厳しい練習の日々で生徒は在学中もふるいにかけられているといっても良いでしょう。

しかし、卒業しただけでは騎手として活躍することはできません。なぜなら、騎手としてレースに出走するには「騎手免許」と呼ばれる国家資格が必要だからです。免許取得後は新人騎手として厩舎に配属され、トレーニングや日々の業務に励むことになります。

ちなみに、騎手免許試験を受けるために競馬学校の修了は必須条件ではありません。そのため、厩舎で調教助手や厩務員として実務を経験しながら直接免許取得を目指す、いわゆる「一発試験」と呼ばれる方法で騎手になる人もいます。

必要な資格や難易度

次に、騎手として働くために必要な騎手免許について解説します。どのような資格で、難易度はどの程度なのでしょうか?

騎手免許とは

騎手免許は、競馬学校と同じく中央競馬・地方競馬に分かれています。そのため、中央競馬のレースに出るためにはJRA騎手免許、地方競馬のレースにはNAR騎手免許が必要になります。

試験内容は筆記試験・口頭試験・騎乗技術試験・身体検査・人物考査。公正を期す必要がある「公営競技」だからこそ、人物考査なども重要になってくるのかもしれません。

また、騎手免許の期限は1年間となります。そのため「一度受かったから安心」というわけではなく1年ごとに更新のため試験を受けなければなりません。

外国人騎手が出走する場合

競馬では外国人騎手も活躍していますが、日本国籍を持たない外国人騎手が日本人選手と同じように通年免許を獲得できるようになったのは2014年。意外と最近ですよね。

それ以前は1994年から外国人騎手には「短期騎手免許制度」というものがありましたが、この免許では年間で最大3カ月しか出走することができなかったそうです。そこで、外国人騎手からの要望を受けて上記のように通年免許も取得できるようになりました。

余談ですが、通年免許獲得に向けての試験に初挑戦したのは有名なミルコ・デムーロですが、初年度は惜しくも不合格。2015年にデムーロ&ルメールが見事ダブル合格し、国内初の外国籍騎手通年免許取得となりました。

合格率は高い

競馬学校の卒業までは狭き門ですが、騎手免許試験の合格率は100%に近いそうです。厳しい養成課程を修了した人や更新のために受験する現役選手にとっては、極端に厳しい試験ではないことがうかがえます。

仕事内容

最後に、実際騎手として働き始めた後の業務内容について紹介します。レースに出走しているイメージが強いですが、レースが無い日にはどのような業務をしているのでしょうか?

レースへの出走

まずはみなさんが最もイメージしやすい業務、レースへの出走です。レース自体は一瞬の勝負とも言えますが、このレースに向けた体重管理トレーニングなど長期間の努力の集大成がレースに凝縮されています。

記事の前半でも騎手の体重制限と斤量について少し触れましたが、騎手は事前に減量をしてレース前に検量を受けるだけでなく、レース後の検量もクリアしなければなりません。また、不正防止のためにレース前夜からは外部との通信も制限されます。

馬の調教

レースに出走しない日は、所属する厩舎で調教師の指示のもと馬の調教を行います。乗馬の試合同様、レースの日だけ割り当てられた馬に乗るのではなく日頃からコンディション調整に関わっているということですね。

日本では1930年代以降、調教師免許と騎手免許は同時保有できないこととなったので、現在では調教師と騎手を兼ねているという人はいません。しかし、騎手引退後に調教師に転向するという人も多いので、調教技術を身に付けることは騎手自身のステップアップのためにも重要といえるでしょう。

まとめ

騎手は競馬に関わる仕事の中で唯一、馬と一緒にゴールを駆け抜けることができる職業です。非常にやりがいや達成感があり、また周囲からも華やかなイメージを持たれる職業といえるでしょう。

第一線で活躍するまでには厳しい条件・試験を乗り越える必要がありますが、馬とともに活躍できる仕事がしたいと考えている方はぜひ競馬学校への入学条件などもチェックしてみましょう!

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