自民・金子氏が初当選 衆院長崎4区補選 立民・末次氏に競り勝つ

初当選を果たし万歳する金子容三氏(中央)=22日午後10時23分、佐世保市八幡町の選挙事務所

 現職の死去に伴う衆院長崎4区補選は22日投票が行われ、即日開票の結果、自民新人で元会社員の金子容三氏(40)=公明推薦=が、立憲民主前職の末次精一氏(60)=社民推薦=を退け、初当選を果たした。自民は同日投開票された参院徳島・高知選挙区で敗れ、1勝1敗となった。2勝を目指した岸田文雄首相の政権運営に影響が出るのは必至だ。
 長崎4区補選は自民の北村誠吾衆院議員の死去に伴い実施された。投票率は2年前の前回衆院選を12.89ポイント下回る42.19%だった。
 金子氏は農相や知事を務めた原二郎氏の長男。保守分裂となった昨年2月の知事選や、今年4月の佐世保市長選のしこりから党が一枚岩で戦えるかが懸念された。金子氏は公認に決まると選挙区内を精力的に回り、党員や原二郎氏の支持者などに協力を要請。若さや行動力、民間経験などをアピールした。
 選挙戦では、与野党とも幹部が相次いで選挙区入りし、党を挙げた総力戦を展開。金子氏は内閣支持率低迷や野党からの世襲批判などで厳しい選挙戦となったが、最後は党の組織力をフル稼働し、支持を広げた。
 末次氏は連合長崎や社民が推薦し、国民民主が支援するなど野党が連携。既得権益の打破やガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」の凍結解除などを主張したが及ばなかった。
 県選管によると、当日有権者数は24万3185人(男11万4346、女12万8839)。

◎危機感ばねに寄り切る

 衆院長崎4区補選の勝敗の分かれ道は、金子容三氏を擁立した自民が保守票をどれだけ固められるかにかかっていた。結果は政権の危機から尻に火が付く形で、末次精一氏を寄り切った。
 祖父の代から続く後援会。若さや民間経験。強固な保守地盤。もともと金子氏にとって戦う条件は悪くなかった。ただ本紙出口調査によると、国政で連立を組む公明の支持層は自民の期待通り9割以上が金子氏に投票したものの、自民層は2割強を取りこぼした。
 これまでの選挙では自民内で内輪もめしようが、分裂しようが、野党側が多弱だったため勝つことができた。しかし今回は野党が末次氏で一本化した上に、内閣支持率の低迷などで無党派層の支持も末次氏に水をあけられた。
 立民側は選挙戦で金子氏の世襲批判を強めたが、世襲は身内にも存在する。自己矛盾をはらみながらの戦略が先々の選挙を見据えた上で正しかったのか、次期衆院選で早速試されることになる。


© 株式会社長崎新聞社