猫がふわ~と「あくび」をするときのキモチ5選 眠いだけじゃなく、病気が隠れている場合も?

猫があくびをするときの5つのキモチ

猫を見ていると一日に何度もあくびをすることがあります。あくびをするときの猫の気持ちは、私たちが考えているよりも複雑です。

  • 1.「さて、いまから動こうかな」
  • 2.「う~ん、いい感じ!」
  • 3.「退屈だなぁ…眠いなぁ…」
  • 4.「あわわわ、怖い」
  • 5.「困ったなぁ」「恥ずかしいッ」

一見のどかな猫のあくびは、実はその時々の状況に応じて出ているのです。

眠りから目覚めたときの大きなあくびは、これから活動を始めるための反射的な反応です。手足をうんと伸ばして、ストレッチをしながらあくびをしている姿をよく見ますね。

また、お気に入りのベッドで横になっているときやひなたぼっこをしているときにも、よくあくびをすることがあります。これは、いま自分がいる環境に満足している証拠です。

そして、次に多いのが退屈したり、眠くなったりしたときです。これには共感できる人も多いのでは?

一方、飼い主から叱られたときや、高いところにジャンプして失敗したときのあくびは、緊張や困惑・イライラなど一時的なストレスを緩和するものです。眠っているところをジャマしたときのあくびは、もしかしたら眠いのではなく困っているだけかもしれません。

動物行動学では、行動の前後と結びつかない無関係な行動を、「転位行動(てんいこうどう)」と呼びます。高ぶった気持ちを鎮めるために行われるといわれ、叱られているときにするあくびや、ジャンプに失敗したのにするあくびは、まさにその典型例なのです。

あくびのメカニズム

人間以外に、猫やほかの動物たちも、あくびをすることが知られています。なぜ、あくびは出てしまうのでしょうか?

あくびのメカニズムに関しては、これまでにも数多くの仮説が立てられてきました。これまであくびの役割は、「酸欠になった脳に酸素を送り込むこと」だといわれていましたが、実際の研究では、あくびをした際の血中酸素は増加しなかったという結果が出ています。

そのため近年では、あくびをすることで熱くなった脳を冷却しているという考えが有力です。

あくびをするときに大きく息を吸うことで、脳内の熱を持った血液と冷やされた血液が循環します。たくさん考えすぎたり、ストレスがかかったりすると脳が熱くなるため、あくびをして冷却するというのです。飼い主から叱られている最中やほかの猫とのにらみ合いの最中にあくびをしたら、それは脳を冷やしているのかもしれません。

また、眠いときのあくびをするときには「覚醒」の脳波が確認されています。逆に、寝ようとするときのあくびには、緊張を解く効果もあるといわれます。

このことから、身体の状態にあわせて正常を保つための調整スイッチとしてあくびが出ると考えられます。しかし、あくびのメカニズムにはまだまだ不明な点が多く、今もなお研究が進められているところです。

こんなあくびには要注意!

あくびは自然な反応なので、出るときに出てしまうもの。あくびが原因で病気になることはありません。

しかし、人間のケースでは「生あくび(眠気を伴わないあくび)が頻繁に出るときは、脳梗塞や貧血などの病気が隠れている可能性がある」といわれています。猫にも血液の病気がありますから、人と同じように注意が必要です。また、てんかんの症状としてもあくびを繰り返すことも知られています。

また、あくびとは違いますが、猫は歯や歯肉、あごなどに異常があると、口の中の違和感(痛み)を和らげようとして意図的に口を開けるあくびのような行動が増えることがあります。この場合には、食欲不振やよだれ、口まわりを引っかくなどの別の行動も伴うでしょう。

あくびの回数があまりにも増加しているような場合は、安心のためにも一度検査を受ける方がよいでしょう。

まとめ

猫があくびをするときには、さまざまな気持ちがあることがわかりました。

起きたての大あくびは活動の準備、快適な場所でのあくびは幸福感、退屈や眠さからのあくびもあります。一方、一時的なストレスを緩和するためのあくびもあり、そのメカニズムについては複数の仮説があります。

現在では、脳を冷却する役割や自律神経の調節という考えが一般的です。猫も、身体を正常に保つために、あくびが出ていると考えられます。

注意すべきは、生あくびです。あまりにも頻繁にあくびをしている場合は、猫の健康にかかわるサインかもしれません。動物病院を受診して、みてもらうようにしましょう。

© 株式会社ピーネストジャパン