歩行者優先、意識徹底を 信号機のない横断歩道、取り締まり強化 茨城県警 5~9月摘発2935件

カラー舗装された日立市立久慈中前の横断歩道=同市久慈町

茨城県警は、信号機のない横断歩道での事故防止に向けた取り締まりを強化している。今年5~9月では、道交法(歩行者妨害)違反の摘発が過去10年間平均の3.8倍に当たる2935件に上った。市町村と連携してカラー舗装の整備や啓発活動も進めており、ドライバーに対しハード・ソフト両面で歩行者優先の意識徹底を図りたい考えだ。

県警は5月以降、信号機のない横断歩道での交通取り締まりを強化。1~4月平均で238件だった摘発件数は、5~9月に同397件と1.7倍に増えた。

その結果、対策前後の月平均では、人身事故発生件数が7.3件から3.6件に半減。信号機のない交差点での歩行者の死亡事故は9月末まで発生していないという。

取り締まり強化の背景にあるのは、茨城県交通マナーの悪さ。日本自動車連盟(JAF)の昨年の調査によると、茨城県は信号のない横断歩道で一時停止した車の割合が全国ワースト8位の26.3%。県が昨年実施した調査でも、信号機のない横断歩道で歩行者がいた時に「必ず停止する」とした人の割合は30.5%にとどまった。止まらない理由は「後続車に追突されたり、追い越されたりして危険」「歩行者が横断するかどうか分からない」が大半。中には、停止するのが「面倒」「かっこ悪い」との回答もあったという。

取り締まりに加え、市町村と連携した事故防止のハード面の整備も進んでいる。

日立市では、県警の助言を受けて対策箇所を選定し、市立久慈中(同市久慈町)と県立日立商業高(同)近くの市道2カ所で、横断歩道を緑色にカラー舗装した。また、新たに「横断者注意」の文字と減速マークの道路表示も加えた。

市によると、舗装した横断歩道は車のライトを反射し夜間でも目立つのが特長という。同中の藤田剛校長は「夜も止まってもらいやすくなり、効果を感じている」と話した。

水戸市でも同様の工事を予定しており、県警は対策効果を発信し、県内の他市町村にも横断歩道のカラー舗装を働きかける方針。

県警交通総務課の川上栄司総括理事官は「対策はまだ道半ば。今後も続けていく」と強調。「さまざまな取り組みを通じて運転者の意識を変えていきたい。歩行者にも渡る意思を明確にしてほしい」と話した。

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