PGAツアーは変化の時「韓国、日本でプレジデンツカップを」/国際担当トップインタビュー

ZOZOチャンピオンシップの表彰式に出席したPGAツアーのクリスチャン・ハーディ氏(撮影/大澤進二)

◇日米ツアー共催◇ZOZOチャンピオンシップ◇アコーディア・ゴルフ習志野CC(千葉)◇7079yd(パー70)

世界最高峰のプロゴルフ団体、PGAツアー(米国男子ツアー)には2022年から激動の時間が流れている。新リーグ「LIVゴルフ」の創設以降、所属選手の争奪による“分断”を経て、和解への道を探る。ツアーの国際部トップ、クリスチャン・ハーディ氏(シニア・バイス・プレジデント・インターナショナル)が現段階における近況、ことしで5回目の開催となった「ZOZOチャンピオンシップ」、そして日本男子ツアーについて語った。

―LIVゴルフとの騒動を経て、現状のPGAツアーをどう見るか
「タフであるというよりは変化のある時期だと考えている。我々はことし、(LIVを支援してきた)サウジアラビア政府系ファンド(パブリック・インベストメント・ファンド=PIF)との合意、DPワールドツアー(欧州男子ツアー)との戦略的提携について発表した。選手たちやPGAツアーの商品を今後、いかにしてより良くするかを考えている。変化もあるが、楽しみもとても多い時期だと思う」
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―6月のLIVとの和解、PIFとの合意以後、進展が乏しいように感じる
「PIFとの協議は順調に進んでいる。交渉、契約はスポンサーシップ、メディアをはじめどんなものにおいても非常に複雑なもの。すべてはゴルフ界のためにある。PIF、DPワールドツアー、PGAツアーが3者で協議に臨んでいるところだ」

―2019年に始まった「ZOZOチャンピオンシップ」について
「我々のみならず、選手も非常に大切に考えてくれている大会。日本、そしてアジアがツアーにとって大切な市場であることに変わりはない。ZOZOというタイトルスポンサーのおかげでこのような大会を開催できている。初回大会から素晴らしい優勝者に恵まれた試合(19年タイガー・ウッズ)でもあり、コリン・モリカワ、ザンダー・シャウフェレをはじめとしたトップ選手が毎年自身のカレンダーに書き入れるほどの試合だ」

「初日の様子を見たが、堀川未来夢選手が最初のティイングエリアでスマートフォンを取り出し、手を振りながらギャラリーの様子を撮影していた。皆さんがそれに反応して手を振り返していた瞬間はとても素晴らしく、特別な時間だと感じた」

―近年、アジアでのPGAツアーは日本だけで開催されている
「やはり変化のある時期であり、以前の3大会(他に中国、韓国)がスケジュールの関係で1つになってしまったが、決してアジアへの思いが低下したわけではない。実際にはアジアのオフィスで働くスタッフの人数も増やしている。既存や新規のスポンサーのケア、DPワールドツアー、JGTO(日本ツアー)との関係構築のためだ。今後アジアで大会が増える可能性がなくはない。また、(2年に一度の対抗戦)プレジデンツカップは2024年にカナダ、28年にオーストラリアで開催するが、今後は日本や韓国に持っていきたいと考えている。ツアー競技だけでなく、その他のイベントをアジアで行うことも検討している。トップ選手に熱狂的なファンの前でプレーしてもらうのも、我々のミッションのひとつだ」

―日本男子ツアーの現状をどう見るか
「JGTOは非常に大事なパートナー。青木功会長は日本のみならず、PGAツアーのレジェンドとしてリスペクトしている。今季から日本ツアーの賞金ランキングトップ3の選手にDPワールドツアーの出場権を付与し、DPワールドツアーでの上位10人がPGAツアーの出場権を得る道を構築した。関係性、戦略的パートナーシップにおいてJGTOはファミリーである。将来的に我々はJGTOの組織、スケジュール、スポンサーシップや宣伝戦略についても、より良くできるように、長期的にお手伝いできないかと考えている」

―現状の日本男子ツアーは競技数が大きく増えず、苦しい
「世界のどのゴルフツアーも、難航する時期もあれば、非常に良い波に乗る時期もある。どういったタイミングでも、我々はパートナーとして一緒に手をつないでできればいい」

―日本の男子選手が将来PGAツアーで活躍するために必要なことは
「ひとつは今週のこの大会(ZOZOチャンピオンシップ)でプレーすることだろう。世界最高峰のコンディションで、世界最高峰の選手とプレーすることが一番の経験になると思う。まずはこの大会に出ることが素晴らしい機会になるはずだ」

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