23日午後2時50分ごろ、富山市安養寺の住宅敷地内で、近くに住む男性(72)がツキノワグマに襲われた。県自然保護課によると、男性は顔や左足、両手を負傷し、全治1カ月のもよう。男性を襲ったクマは約1時間半後に駆除された。クマによる人身被害は今年5件目で、そのうち駆除は2件目。
県によると、クマは成獣の雄(推定4歳)で体長約120センチ、体重約80キロ。17日夜に女性がクマに襲われて亡くなった同市江本(えのもと)の現場付近から約2.5キロ離れているが、残されていた足跡と足の大きさなどが似ており、同じ個体の可能性があるという。
男性は親戚の住宅敷地内の蔵でクマと遭遇し、親族が「クマに襲われけがをしている」と110番。地元猟友会員12人と警察官30人、県職員2人、市職員1人で警戒していたところ、蔵付近でクマを見つけた。警察官職務執行法に基づき、猟友会員2人が警察官の指示を受けて計8発発砲し駆除した。発砲による人や物への被害はなかったという。
襲われた男性の親族の40代女性らによると、男性はこの家の世帯主の弟。普段からこの家に出入りし、敷地内の蔵に自転車などをしまっていたという。この家の隣家からは20日にクマの目撃情報が寄せられたが、見つかっていなかった。
現場近くの熊野小学校は25日までとしていた保護者による送迎とグラウンドの使用禁止を31日まで延長。興南中学校は24日も保護者による送迎を求める。
富山市内では23日、安養寺のほかに婦中町の外輪野、小長沢、牛滑の各地区で目撃や痕跡が相次いだ。国道8号沿いの手屋では住宅庭のカキの木に爪痕を確認。西番でも目撃情報やカキを食べた痕跡があった。
県によると、県内の10月のクマの出没件数は、23日時点で前年同月比約7倍の165件となっている。