もんたよしのりさん急逝 8月にライブで20曲熱唱「まだまだ音楽届けてくれると…」神戸の関係者が惜しむ声

インタビューで自身の人生について語るもんたよしのりさん=2012年4月、神戸市中央区下山手通2、チキンジョージ

 18日に72歳で急逝した神戸市東灘区出身のシンガー・ソングライターもんたよしのりさんは、8月の地元神戸でのライブで健在ぶりを見せたばかりだった。突然の訃報に神戸の音楽関係者らは「まだまだ音楽を届けてくれると思っていた」と惜しむ声が上がった。

 8月29日、神戸・三宮のライブハウス「チキンジョージ」で約4年ぶりにステージに立ったもんたさん。「今めっちゃ調子が良いねん」との言葉通り、往年のヒット曲「ダンシング・オールナイト」「ギャランドゥ」から新曲まで計20曲をパワフルに歌い上げ、満員の会場を湧かせた。

 後方で見守ったチキンジョージ専務の児島勝さん(61)は熱量の高いパフォーマンスに「涙が出た」と振り返る。これまで見てきたミュージシャンは数知れないが「もんたさんは圧倒的な存在感」。それだけに「自分が話せる立場ではない」と恐縮しつつ「思ったことはどんと口に出し、誰とも群れない。それでいて陰のない優しさがあった」としのんだ。

 「バンドの中でもんたさんが一番長生きするやろうと言っていたのに」と惜しむのは、1999年からバックバンドに参加し、今年8月のライブにも出演したピアニスト糸原摩理さん(54)。「歌詞からは、もんたさんが生きようとしている生き方がストレートに伝わってくる。それをステージで一緒に、音楽で表現できたことは大きな喜び」と感謝する。

 もんたさんと約55年の親交があり「音楽の幼なじみ」だったベーシスト、ボーカリストの天野SHOさんは「もんたの音楽は日本語の後ろに洋物のメロディーが香った」と語る。「好きな音楽をやっていた。最近は若いバンドとやって楽しかったやろうに」と声を詰まらせた。「寂しいな」とつぶやき「(2012年に死去した歌手の)桑名正博らが上で待っているやろ。歌い続けろよ」と呼びかけた。(藤森恵一郎)

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