【MLB】山本由伸争奪戦はメッツが優位? 千賀が山本獲得を球団に進言か

写真:千賀が山本獲得を球団に進言したと報じられている @Getty Images

今オフにポスティングシステムでのメジャー移籍を目指すと見られているオリックスの山本由伸争奪戦において、メッツの千賀滉大がカギになるかもしれない。

10月23日、スポーツメディア『The Athletic』はメッツが山本獲得を狙っていることについて特集。山本がビッグマーケットの球団への加入を望んでいること、そして千賀が今季終了時メッツ上層部に山本獲得を進言したことを報じた。

今季千賀を5年9000万ドルで獲得したメッツは、メジャー1位の総年俸3億4000万ドル超えのチームを作り上げた。ワールドシリーズ制覇の有力候補にも挙げられていたがチームは予想外の不振。シーズン途中にはジャスティン・バーランダーとマックス・シャーザーの2人のエース投手をトレードする「売り手」にまわった。その結果メッツは75勝87敗の地区4位に終わり、来季は再び大きな補強をするのか、一時的に再建を主体にするのか、オフの動きが注目されている。

メッツが大型補強と再建のどちらを選ぶにしても、山本獲得は理にかなっている。日本で3年連続投手四冠という前人未到の記録を達成した山本は、来季開幕時点でまだ25歳の若さ。今オフFAの有力投手は、サイ・ヤング賞最有力のブレイク・スネル(30)、ポストシーズンでも活躍しているアーロン・ノラ(30)らを筆頭に30歳前後の選手が多い。山本がポスティングすれば有力投手の中では飛びぬけた若さになり、大型契約すれば今後数年間先発ローテーションの軸として期待できるだろう。メッツは若手先発投手の層が薄く、勝負は2025年からと考えていたとしても、ここで山本を獲得しておくことには大きなメリットがある。

メッツにその気があれば、山本争奪戦がマネーゲームになったとしても勝ち切ることが可能だ。オーナーのスティーブ・コーエン氏はMLB屈指の資産家として知られており、チームの補強に資金を投じることにためらいはない。また、山本獲得を進言したという千賀の存在も大きいだろう。千賀と山本はともにワッサーマンのジョエル・ウルフ氏を代理人としている上、今季の千賀は新人ながらサイ・ヤング賞投票で名前が挙がりそうなほどの素晴らしい活躍を見せており、メジャー1年目の日本人投手にとってお手本のような存在だ。

一方で、ビリー・エプラー氏のGM退任が山本獲得に影響を及ぼすかもしれない。エプラー氏は田中将大や大谷翔平、そして千賀のメジャー入りの際に尽力した日本人選手との交渉に長けた人物だが、デビッド・スターンズ新編成本部長就任と故障者リストの不正利用疑惑が持ち上がったことに伴いメッツから去ることになった。エプラー氏がGMであれば、その経験を武器に交渉を優位に進めることができたかもしれない。

山本にはヤンキースやドジャースなど数多くの球団が興味を示している。田中がヤンキースに入団した際の7年1億5500万ドルをも超える契約を得る可能性は十分にある。山本が正式にポスティングすれば、メッツを含め資金力のある球団の間で一気に争奪戦が始まることは間違いないだろう。

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