産学官民が連携してアルミリサイクルを研究する拠点となる富山大の軽金属材料共同研究棟が完成し、23日に富山大高岡キャンパス(高岡市二上町)で開所式があった。リサイクル技術を確立させて2033年までに日本のアルミ地金輸入量を148万トンから74万トンに半減させ、再生アルミの循環で777万トンの二酸化炭素(CO2)削減と約5896億円の経済効果を見込む。総事業費は16億8000万円。
アルミは製造過程で大量の電力が必要となる。電力を火力で賄う場合はCO2の排出量が増えることから、リサイクル技術を早期に確立して環境負担の削減につなげる。
研究棟は鉄筋コンクリート3階建てで、延べ床面積2545平方メートル。消費電力やCO2排出量などを計測しながら、アルミスクラップの溶解から不純物の分離までを一貫して行う装置やプレス機、電子顕微鏡などを備え、実験装置のデータを分析する。来年1月に各装置が稼働する予定。事業費は経済産業省や県、高岡市の補助金や企業などからの寄付も活用した。
今後2年間で、使用済み製品からアルミを分別し、適正な溶解や精錬などを行って再利用するまでの技術を確立させる。「富山型資源循環モデル」と銘打ち、プラスチックなど別の素材でもアルミリサイクルの技術を生かせないか探る。
学生や教員、企業の研究者らが利用できるコラボスペースや、研究機関や地域の企業などが共同研究を進める6室のオープンラボなども備える。ラボは既に県内外の企業3社から利用の申し込みがあるという。
開所式には関係者約80人が出席し、齋藤滋学長が「産学官民が共同で取り組む資源循環型の社会システムへの変革モデルを富山から発信する」とあいさつした。関係者が加わってテープカットし、出席者が設備などの説明を受けながら施設内を見て回った。