ラリージャパン2023のエントリーリストが発表。トヨタは4台体制、コバライネンや新井親子ら全日本勢も参戦

 11月16日(木)から19日(日)にかけて、愛知県と岐阜県で開催されるWRC世界ラリー選手権第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2023』のエントリーリストがが発表された。

 23日付で公開された同リストには全36台のマシンとクルーが名を連ね、このうち最高峰クラスではMスポーツ・フォード、ヒョンデ、すでに今季の“トリプルチャンピオン”獲得を決めているトヨタの計3チームから都合9台がエントリーしている。

■前年3位の勝田貴元は4台目のGRヤリスで参戦

 この中でもっとも多い4台のマシンを走らせるTOYOTA GAZOO Racing WRTは、ドライバーズタイトルを争うカッレ・ロバンペラとエルフィン・エバンスのレギュラー2名とベテランのセバスチャン・オジエ、さらに非ワークスノミネートでTGR WRCチャレンジプログラムからの参戦となる勝田貴元を出場させる。これは今週末ドイツとチェコ、オーストリアの3カ国で開催される『セントラル・ヨーロピアン・ラリー(CER)』と同様のドライバーラインアップだ。トヨタとしては、2022年に逃した母国での勝利を是が非でも勝ち取りたいところだろう。

 一方、2022年大会でワン・ツー・フィニッシュを達成したヒョンデ・シェル・モビスWRTは、CERの布陣から一部変更がある。韓国車ブランドのチームは“仕事人”ことダニ・ソルドを3台目のヒョンデi20 Nラリー1のドライバーに登録し、レギュラードライバーのティエリー・ヌービル、エサペッカ・ラッピとともに前年の再現を狙うつもりだ。ソルドの復帰は第10戦ギリシャ以来、3戦ぶり。また彼のターマック(舗装路)イベントへの参加は1年前のラリージャパン以来となる。

 なお、同チームにとってラリージャパンはトヨタのお膝元、いわば“敵地”でワン・ツーを決めたイベントであると同時に、ラリー序盤のSS2で発生した車両火災によってラリー1カーを1台を焼失させた苦い思い出が残るイベントでもある。

■オット・タナク、Mスポーツでの“ラストラン”

 既報のとおり、2024年にヒョンデ陣営へと戻ることを決意したオット・タナクは、このラリージャパンでMスポーツ・フォードWRTとレッドブルカラーのフォード・プーマ・ラリー1に別れを告げる。それを見届けるチームメイトは、今シーズンともにトップカテゴリーを戦ってきたピエール-ルイ・ルーベではなく、アドリアン・フルモーになることも先日お伝えしたとおりだ。

 今季2023年はWRC2カテゴリーでフォード・フィエスタ・ラリー2をドライブしてきた28歳のフルモーは、シーズンのフィナーレイベントで約1年ぶりのラリー1復帰を果たすことになる。反対に第11戦チリから2戦続けてプーマ・ラリー1をドライブするグレゴワール・ミュンスターは最終戦ではサポートクラスに戻ることになった。

SS2走行中に炎が上がり全焼したダニ・ソルドのヒョンデi20 Nラリー1  2022年WRC第13戦ラリージャパン
2022年のラリージャパンはティエリー・ヌービルと当時ヒョンデのオット・タナクがワン・ツー・フィニッシュを達成。勝田貴元が母国ラウンドで3位表彰台を獲得した。
ふたたびのMスポーツ離脱を決めたオット・タナクにとって、ラリージャパンはフォード・プーマ・ラリー1でのラストランとなる

■全日本ラリーのGRヤリスやWRX S4が登場

 そのWRC2クラスでは、現在ランキング首位につけているアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2)がラリージャパンに初参戦する予定だ。

 このほか、ニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2)や前述のミュンスター(フォード・フィエスタ・ラリー2)、昨年旧伊勢神トンネル出口付近でクラッシュを喫したカエタン・カエタノビッチ(シュコダ・ファビアRSラリー2)がエントリーしている同クラスには、JRC全日本ラリー選手権で2連覇を達成したヘイキ・コバライネン(シュコダ・ファビア・ラリー2)や同シリーズを戦う福永修(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)らも出場する。

 さらにナショナルクラスのJRCar1にも日本勢が多数エントリーしており、貴元の父である勝田範彦とTOYOTA GAZOO Racing WRJのチームメイトである眞貝知志が、それぞれ同チームのトヨタGRヤリスで参戦する。また、新井敏弘はSUBARU TEAM ARAIから新型スバルWRX S4で、トヨタGRヤリスを走らせるウェルパイン・モータースポーツからは元SKE48の梅本まどかが村田康介のコドライバーとして出場予定だ。2020年のJRCチャンピオン新井大輝はプジョー208ラリー4を駆りRC4クラスからの参戦となっている。

 JRCar3クラスでは今年も軽自動車のラリーカーが登場。D-SPORT HALFWAY RACING RALLY TEAMのダイハツ・コペンGRスポーツがクラス2連覇に挑戦する。

■2023年WRC第13戦ラリージャパン エントリーリスト(ラリー1のみ/10月23日付)

No. Team Car Driver&Co-Driver Eligibility

69 トヨタ・ガズー・レーシングWRT トヨタGRヤリス・ラリー1 カッレ・ロバンペラ
ヨンネ・ハルットゥネン M

33 トヨタ・ガズー・レーシングWRT トヨタGRヤリス・ラリー1 エルフィン・エバンス
スコット・マーティン M

11 ヒョンデ・シェル・モビスWRT ヒョンデi20 Nラリー1 ティエリー・ヌービル
マルティン・ウィダグ M

8 Mスポーツ・フォードWRT フォード・プーマ・ラリー1 オット・タナク
マルティン・ヤルヴェオヤ M

17 トヨタ・ガズー・レーシングWRT トヨタGRヤリス・ラリー1 セバスチャン・オジエ
ヴァンサン・ランデ M

4 ヒョンデ・シェル・モビスWRT ヒョンデi20 Nラリー1 エサペッカ・ラッピ
ヤンネ・フェルム M

18 トヨタ・ガズー・レーシングWRT トヨタGRヤリス・ラリー1 勝田貴元
アーロン・ジョンストン ‐

6 ヒョンデ・シェル・モビスWRT ヒョンデi20 Nラリー1 ダニ・ソルド
カンディード・カレラ M

16 Mスポーツ・フォードWRT フォード・プーマ・ラリー1 アドリアン・フルモー
アレクサンドル・コリア M

2023年WRC第13戦ラリージャパン エントリーリスト(※タップorクリックでPDFが開きます)
WRCラリージャパン2022で優勝したティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグ組(ヒョンデi20 Nラリー1)
ラリージャパン2022でJRCar3クラス優勝を飾ったダイハツ・コペンGRスポーツ
サービスパークで整備を受ける新型スバルWRX S4(SUBARU TEAM ARAI)

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