ヴェルスパ大分 残り5試合、初志貫徹の精神で 【大分県】

J3昇格を目指すヴェルスパ大分が崖っぷちにいる。現在、7勝8分8敗、勝ち点29で11位、残り5試合で昇格圏内となる2位以内の確保は厳しく、次節の結果次第で可能性が絶たれるかもしれない。22日の25節・沖縄SV戦に敗れた後、山橋貴史監督は「今季を象徴するような試合だった」と話した。

今季は3年目の山橋監督のもと、後方からボールを保持して攻撃を組み立て、局面で数的有利の状態から決定機をつくってきた。ただ、主導権を握りながら決定力に欠けており、そこがチーム最大の懸念事項であった。

沖縄戦でも自陣でブロックを築く相手に対して、サイドにボールを散らして揺さぶりをかけ、相手の守備にずれが生じれば中央を崩す。セオリー通りに試合を進めたが、ゴール前のアイデアに乏しく、ラストパスの精度を欠いた。得点できずにいると、一瞬の隙を突かれ失点する。今季、何度も見てきたシーンだった。

沖縄戦では一方的に攻めながらも無得点に終わった

残り5試合、「自分たちのスタイルを貫き、できることをやるしかない」と山橋監督。決定力不足解消は一朝一夕に解決できる問題ではないが、チームにはここにきて変化が起きている。システムを開幕当初の4バックに戻し、前線からプレスをかけて、高い位置でボールを奪うことを共有している。戦線離脱のキャプテンのMF篠原宏仁が先発復帰し、DF大嶽拓馬らこれまで出場時間が少なかった選手もチャンスを得ている。「チームとして力がないわけではない」と篠原が言うように、チームは底上げされ、誰が出ても戦力が落ちることはない。

やろうとしていることは間違っていない、残り5試合、昇格はかなり苦しい状況だが、積み上げてきたものが否定されるわけではない。大分は一戦必勝の精神でここまで来たはずだ。もう一度、初心に返るべきだ。まだシーズンは終わっていない。

残り5試合でも自分たちのスタイルを貫く

(柚野真也)

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