浸水想定図、作成前倒し 茨城県内130河川 県、氾濫相次ぎ急ぐ

西田川の洪水浸水想定区域図を説明する県担当者=県庁

9月の台風13号に伴う大雨で中小河川が相次いで氾濫したことを受け、茨城県は23日、流域の「洪水浸水想定区域図」の作成期間を1年前倒しして、2024年度までに完了させると発表した。区域図は市町村が作るハザードマップの基礎資料となることから、残る約130河川の作成を急ぎ、自治体の水防対策や住民の備えにつなげる。

区域図は最大規模の降雨による河川氾濫を想定し、浸水範囲を示すほか、水深レベルを6段階で色分けしている。市町村では区域図を基にハザードマップを作成する。国からは26年度までにマップの更新など見直しを求められている。

区域図の作成は大河川などを対象に義務付けられたが、全国で中小河川の氾濫が相次いだことから、21年に改正水防法が施行され、多くの河川で作成が必要となった。県は管理する全216中小河川について、25年度までの作成完了を目指していた。

こうした中、局地的豪雨をもたらす線状降水帯が9月に発生。過去最大規模の大雨が観測され、県管理の中小9河川が氾濫した。このうち、高萩市を流れる関根川の一部を除いては、区域図が作成されていなかった。大雨への備えが急務となり、県は9河川を含め、作成完了時期の前倒しを決めた。

県はこの日、新たに56河川の区域図を作成したと併せて発表した。内訳は19年の東日本台風(台風19号)の影響で越水した西田川(水戸市、城里町)など那珂川水系17河川と、小野川(稲敷市など)を含む利根川水系39河川。

このほか、住民生活に重大な損害をもたらす可能性がある「洪水予報河川」や「水位周知河川」など27河川については、先行して作成が済んでいる。今回の分を加えると、完了したのは約4割に当たる計83河川となった。

新たな区域図は県のホームページで24日、公表を予定する。県河川課の矢作浩司技佐兼課長補佐は「(残りの河川も)早急に作成し、市町村の防災関係者や住民にぜひ有効活用してほしい」と話した。

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