鹿島神宮、屋根美しく 「幣殿・拝殿」報道陣公開 檜皮17万枚、令和の大改修 茨城・鹿嶋

檜皮ぶき屋根の改修について話す川田徳宏社長=鹿嶋市宮中

茨城県鹿嶋市宮中の鹿島神宮(鹿島則良宮司)で、国指定重要文化財「幣殿・拝殿」の修繕工事完了に先立ち、新しくふき替えられた「檜皮(ひわだ)ぶき」の屋根が23日、報道関係者に公開された。屋根の面積は308平方メートル。ふき替えのために檜皮約17万枚が使われ、重さは約10.5トンに上る。参拝客がふき替えを終えた美しい屋根を見られるのは12月になる見込みだ。

幣殿・拝殿は、1619年に徳川秀忠が本殿などとともに造営寄進した。江戸期権現造りの先駆的な形式として高く評価されている。1994年の修繕から30年近くが経過し、檜皮の劣化が進んだことから、「令和の大改修」の一環として、幣殿・拝殿は2022年5月に修繕に着手された。

檜皮ぶきは奈良時代から伝わる伝統技法で、材料の樹皮は関西地方で採取された。短冊状に切り落とされた樹皮を4枚つなぎ合わせて1枚(長さ75センチ、幅15センチ、厚さ1.5センチ)に切りそろえた上で、約1センチずつずらして重ね、竹くぎを打って固定する。

施工を担う谷上社寺工業(和歌山県)の川田徳宏社長は「たくさんの方の努力によって今の姿が保たれている。少しでも創建時の姿に戻し、次の世代にもつなげていきたい」と語った。屋根ふき替えのほか、耐震補強工事などを実施した。

大改修は、26年に予定される12年に1度の大祭「鹿島神宮式年大祭 御船祭」に先立つ記念事業として進められている。

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