【杵築】杵築市山香町小武の農業小野義美さん(76)が自宅近くの耕作放棄地で、アジア稲とアフリカ稲の交配で作ったネリカ米を初めて収穫した。普及に努める国際協力機構(JICA)の稲作上級技術アドバイザー、坪井達史さん(73)=同町野原=の活動に賛同。坪井さんを通じて、希望者に種を配布する。
坪井さんは、乾燥した土地で育つ、ネリカ米栽培の世界的な第一人者。2009年にニューズウイーク誌の「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた。現在もアフリカに足を延ばす。
現地の主食はトウモロコシ。ネリカ米は商品作物として農家の生活向上に一役買う。人口が増え続けるアフリカ。未開発地の多い低湿地でも育つため、食糧問題解決の切り札として注目されている。
小野さんは、町内であった坪井さんの研修会に参加。標高250メートルの耕作放棄地1アールで5月下旬から栽培に挑戦した。今月4日の収穫作業には地域住民、市職員ら10人が参加。坪井さんのアドバイスを受けながら、年代物の脱穀機で、リズミカルにもみを落とした。
収量は50キロほど。味はアフリカでは好評だが、日本人の口には合わないとか。カレーやチャーハンに適しているという。
小野さんは「田んぼを作らずに畑でできる。水をやらなくても雨水だけで成長しました」と笑顔。坪井さんは「ネリカ米を知ることでアフリカの現状について考えてもらいたい。普及を助ける指導者が出てくればうれしい」と話している。
問い合わせは坪井さん(080.9245.2940)。