メッツの山本由伸獲得に影響を与える要素とは? 米メディアが分析

今オフの移籍マーケットにおいてトップクラスの投手の1人と目されているのが山本由伸(オリックス)だ。日本球界での圧倒的な実績に加え、まだ25歳という若さも大きな魅力となり、多くのチームが獲得に乗り出すことが予想されている。山本争奪戦に間違いなく参戦するチームの1つがメッツ。米メディア「ジ・アスレチック」のウィル・サモン記者は、メッツの山本獲得の動向に影響を与えそうな要素について分析している。

MLBではフリーエージェント(FA)の権利を取得するのにサービスタイム(メジャー登録日数)6年が必要となるため、大半の選手がFA市場に出てくるのは30歳前後となる。そうした事情を踏まえ、サモン記者は25歳の山本が市場に出てくることについて「質の高い投手の獲得に大金を投じる準備があるチームに特別な機会をもたらすことになる」と記している。

メッツは投手よりも野手のプロスペクト(若手有望株)のほうが充実しており、来季の先発ローテーションは千賀滉大とホセ・キンタナの2枠しか埋まっていない状況。もし来季は若手の育成を重視し、2024年から再び世界一を狙うプランだったとしても、25歳の山本を獲得するのはそのプランと矛盾しない。メッツがいつから世界一を狙うかに関係なく、山本の獲得に乗り出すことは間違いないだろう。

サモン記者は、記事のなかで2つの要素について分析。1つ目は「千賀の存在が山本争奪戦においてプラスに働くのか、マイナスに働くのか」ということだ。以前、「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者は「日本人選手は他の日本人選手とチームメイトになることを嫌うこともある」と書いたことがある。「年長者を敬う日本人の上下関係」がその理由だという。しかし、サモン記者によると、山本はワールド・ベースボール・クラシックで多くの年上の選手とプレーした経験も踏まえ、他の日本人選手と同僚になることに対してオープンだという。よって、千賀の存在は少なくともマイナスに作用することはないとみられる。

2つ目は「日本人選手を獲得してきた実績のあるビリー・エプラーがチームを離れたことによる影響はあるか」ということだ。エプラーはヤンキース時代に田中将大、エンゼルス時代には大谷翔平の獲得に携わってきた。サモン記者は「メッツはプレゼンをする際に、エプラーが持つ専門知識を欠くことになるかもしれない」とした一方、「他の方法でそれを十分に補うことができる」との見解を示した。大富豪のスティーブ・コーエン・オーナーの資金力を生かし、契約年数や総額、年平均額などでアドバンテージを持つことができるというわけだ。もちろん、メッツの環境が山本にとってベストであることをアピールする必要はある。

サモン記者が懸念するのは「新任のデービッド・スターンズ編成本部長がどれくらい山本を欲しがっているか」という点だ。他のチームのGMとは異なり、スターンズが山本のピッチングを直接視察したところは1度も目撃されていない。各種のデータや映像で山本の能力を把握することはできるため、直接視察していないことはそれほど問題ではないかもしれないが、スターンズの山本への関心の度合いは不透明だ。

メッツのほか、ドジャース、ジャイアンツ、カブス、ヤンキースといった名門球団・人気球団が山本の獲得に乗り出すとみられている。千賀で成功を収めたメッツが積極的に動くことは間違いなく、コーエン・オーナーの資金力を考慮すると、山本争奪戦をリードする存在となっていくかもしれない。

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