【動画】武雄の流鏑馬 人馬疾走、妙技に歓声

疾走する馬から的に向かって矢を放つ射手=武雄市の武雄神社参道馬場

 837年の伝統を持つ「武雄の流鏑馬(やぶさめ)」が23日、武雄市の武雄神社前の参道馬場で奉納された。疾走する馬から射手が矢を放ち、的を射る妙技に観衆から大きな拍手が送られた。新型コロナ禍を経て昨年から宵のまつりや町行列も含めて実施され、外国人観光客の姿も見られた。

 全長255メートルの馬場には三つの的が置かれ、3人の射手が馬から矢を放った。見事に的に当たると観衆から歓声と拍手が沸き起こった。参道横の斜面にはカメラマンが並び、人馬一体の決定的瞬間を狙っていた。

 7年連続で一の矢の射手を務めた嬉野市の大曲祐一さん(37)は「3本放った矢がすべて的に当たり、責任を果たせた」と安堵(あんど)し「若い射手も育っており、今後もみんなで力を合わせて伝統行事を守っていきたい」と話した。

 奉射の前後には、鎌倉時代の衣装を身に着けた関係者が市内を行列する「上り馬」「下り馬」も行われた。武雄流鏑馬保存会の谷口優会長は「射手の腕前も上がっており素晴らしい奉納ができた。来年に向けて流鏑馬の保存伝承に努めたい」と表情を引き締めた。

 流鏑馬は、武雄神社に平家討伐を祈願した源頼朝が1186(文治2)年、戦勝のお礼で使者を赴かせた際に武雄領主が奉納したことが始まりとされる。(澤登滋)

   

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