レクサスのWEC/ル・マン参戦に現実味。強豪ASPがLMGT3タイヤテストにRC Fで参加へ

 今季2023年の2冠達成などファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパで数々のタイトルを積み上げてきたフランスの強豪GTチームが、うわさされる来年のLMGT3参戦に先駆け、レクサスRC F GT3でタイヤテストに参加する。

 アコーディスASPチームは、ポルトガルのアルガルベ・インターナショナル・サーキットで10月24日と25日に行われるグッドイヤーのLMGT3タイヤテストにおいて、レクサスのGT3マシンを走らせる予定だ。2024年のWEC世界耐久選手権に新設されるGT3カテゴリーを念頭においた同テストには、この他にも有力チームや注目すべきメーカーが姿を見せている。

■テストドライバーのひとりはホセ-マリア・ロペス

 フランスのモータースポーツメディア『Endurance-Info』によって報告されたように、ジェローム・ポリカン率いるASPチームは、タイトルスポンサーのアコーディスと長年の支援者であるミネルバ・オイル、そしてトヨタ・ガズー・レーシングのサポートスタッフとともに、カーボン地ボディにイエローのアクセントが入った1台のRC F GT3をポルティマオに持ち込んでいる。

 このクルマは、北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権においてレクサスをGTDプロクラスチャンピオンに導いたジャック・ホークスワースと、現在トヨタワークスドライバーとしてWECハイパーカークラスに参戦しているホセ-マリア・ロペスによってドライブされる予定だ。

 ホークスワースとロペスは先週からポルトガルに滞在している。彼らはそれぞれアルガルベ・プロ・レーシングとクール・レーシングからELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズのシーズンフィナーレとなった“ダブルヘッダー”レースに出場した後、火曜日から始まる2日間のタイヤテストに臨むことになる。

 ASPはここ数カ月、レクサスブランドで行うLMGT3プログラムの可能性に大きく関係しており、ポリカンは先月Sportscar365に対し、チームがRC F GT3で世界選手権デビューを果たす可能性のある契約に近づいていると語っていた。

 ASPとレクサスに加え、ELMS・LMP2クラスで年間3勝を挙げランキング2位となったユナイテッド・オートスポーツもポルティマオに残り、タイヤテストで1台のマクラーレン720S GT3エボを走らせる。

 イギリスのマニュファクチャラーは今月初め、WECへのエントリー枠を獲得した場合、ザク・ブラウンが共同オーナーを務めるユナイテッドが2台体制でLMGT3にコミットする、とアナウンスしていた。

ジェローム・ポリカン率いるアコーディスASPチームは、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパで数々のタイトルを獲得してきた
2023年シーズンもスプリントと耐久で最多6勝をマークし、GTWCヨーロッパのオーバーオール・チャンピオンとエンデュランスカップ・チャンピオンを獲得した88号車メルセデスAMG GT3エボ(アコーディスASPチーム)

■BMW、ランボルギーニ、フォードもテストに参加

 欧州シリーズで“最後のGTEチャンピオン”に輝いたプロトン・コンペティションも、このテストに向けフォード・マスタングGT3を1台用意している。プロトンは最近、ダイナミックGTのスタッフの影に隠れてスペインのカタロニア・サーキットでこのマシンをテストした。

 ダイナミックの広報担当者はSportscar365に対し、ポルティマオにはイタリアのチームメンバーも参加するが、マシンの走行には関与しないことを確認した。同チームは来年、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパのエンデュランスカップとスプリントカップの両方で2台のマスタングGT3を走らせる予定だ。

 テストに参加するこの他のメーカーは、アウディ、BMW、アストンマーティン、フェラーリ、ランボルギーニだ。アウディはサンテロック・レーシング、BMWはチームWRTがサーキットに姿を見せている。アストンマーティンは2024年に投入されるアップデート版バンテージGT3が登場するものと思われる。

 フェラーリではAFコルセが、ミシュラン・ル・マン・カップに参戦したフェラーリ296 GT3のペアで現地入り。アイアン・リンクスもまたル・マン・カップのフィナーレイベントでランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2を走らせた後、そのままポルトガルに残る予定だ。

2023年6月に正式発表されたフォード・マスタングGT3。2024年から、世界のGT3レースに投入される
GTワールドチャレンジなどのGT3レースに投入されているマクラーレン720S GT3エボ

© 株式会社三栄