50戸連たん 岡山市が廃止検討 人口減受け都市機能集約目指す

記者会見で「50戸連たん」制度について説明する大森市長

 岡山市は24日、開発を抑制して農地保全を図る市街化調整区域内で、50戸以上の建築物が集まるエリアへの住宅新築を認める「50戸連たん制度」を2026年4月にも廃止する方向で検討していることを明らかにした。人口減が進む中、都市機能を集約する「コンパクトシティー化」に向けた施策の一つ。市によると、岡山県内では倉敷市が既に廃止し、赤磐市(開発許可権者は県)も手続きを進めているという。

 50戸連たん制度は00年の都市計画法改正で導入され、岡山市は01年に開発許可基準を定めた条例を制定。敷地間が55メートル以内にある建物が50戸以上集まっている場所に限り、住宅の建築を認めている。

 市内では市街化区域の周辺部で同制度による開発が進み、低密度な市街地が拡大する一方、市街化区域の岡南、西大寺地域などで人口が減少。市街化区域で店舗や医療機関といった生活サービス施設の維持が困難になる恐れが生じていた。

 市は7月、市街化調整区域での開発許可制度の見直しについて市都市計画審議会に諮問。検討部会が協議を重ね、50戸連たん制度の廃止方針を盛り込んだ素案がまとまった。

 素案では、人口減少が著しい区域に限定して新たに「20戸連たん制度」を新設するほか、空き家など既存建築物の用途変更緩和で地域の再生や集落の維持を図るとしている。

 12月にパブリックコメント(意見公募)を行うなどし、市は来年の2月定例市議会に関連条例の廃止案を提出したい考え。24年4月から2年間の経過措置後の運用開始を目指す。

 記者会見した大森雅夫市長は「中心部は再開発が多く動いている。インフラ整備や子ども政策などさまざまな施策を総合的に打ち、住みやすい都市を目指す」と述べた。

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