健康経営の重要性を上司にわかってほしい!そんな方へ

皆様の企業は健康経営への取り組みを積極的に行っていますか?
「産業保健新聞」の運営元、ドクタートラストで営業を担当している私が人事・労務担当の方と接する中で、「健康経営に取り組みたいと思っているが、経営層の方に健康経営の重要性を理解してもらえず、なかなか着手できない」といったお声を伺うことがしばしばあります。
今回はそんな方に向けて、全国健康保険協会広島支部「令和4年度 健康経営の取組課題としてのメンタルヘルス対策に関する事業所実態調査結果」(以下、本調査)をもとに、健康経営に取り組む重要性をお伝えします。

健康経営に対する経営層者の関わり・支援の有無が退職者の割合に大きく影響する

2020年度に生活習慣予防健診受検者(被保険者35歳~74歳)を対象にした本調査によると、事業主・経営層が健康経営に「積極的に関与している」と回答した事業所と比較して、「ある程度は関与している」「あまり関与していない」と回答した事業所では、なんと退職リスクが約2倍になることが判明しています。
さらに「健康経営に取り組んでいない」と回答した事業所では、退職リスクが約2.8倍となりました。
日々、人事・労務担当の方とお話させていただく中で、メンタル不調による退職が続くため、何か策を打って退職を止めたいといったお悩みを多く伺います。
穂イン上記アンケート結果より、経営層の方が健康経営への取り組みに関与しているか否かで、退職リスクが大きく変わることがわかりますね。

私個人の感想としても企業に大きな影響を与える経営層の方が従業員の健康を気遣い、従業員の皆が健康に活き活きと働いて欲しいという気持ちを持ち、実際に対策を行っているかどうかで企業への信頼度は大きく変わってくると感じています。
企業に従事する者として、企業側から自分は気にかけてもらっているのか、もしくは「企業は自分のことなんかちっとも考えていない!」と感じるのかどうかで、企業に貢献したい、この企業には長く勤めていたいという思いが芽生えてくるのかは大きな差になると思います。
退職率を下げるには健康経営に対する経営層者の関わり・支援が非常に大切になってくると言えますね。

健康経営の取り組みによって年間医療費を削減できる

上記と同じアンケートの結果から、従業員(被保険者)の一人当たりの年間医療費(10分割で算出)を比較すると「健康経営」に積極的に取り組む事業所は、その他企業にくらべて低い傾向があることがわかっています。

広島支部全体の平均(約58,000社)にくらべて広島支部加入事業所内の「健康経営優良法人2023」認定法人(393社)の一人当たりの年間医療費は約20,000円も少なかったのです。
医療機関にかかる機会を減らすことができ、従業員側だけでなく企業側にもメリットがあることがわかりますね。

さいごに

健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。
健康経営による従業員への健康投資を行うことは、従業員の健康リテラシーを向上させます。

生産性が向上することで企業全体の組織活性化を促し、結果的に業績の向上や健康経営優良法人の取得等で企業ステータスの向上、優秀な人材の確保につながることが期待されます。
そのためには経営層の方が健康経営の重要性を理解し、積極的に取り組んでいくと決意し実行していくことが大切です。
健康経営は従業員のための取組みと思われる方もいらっしゃいますが、企業の成長につながる取組みでもあります。
従業員側、企業側お互いが感謝しながら働き、自分の企業は素晴らしい企業だとつい自慢したくなる、そんな組織になったら素敵だと思いませんか?
そんな組織の構築を実現させるべく、一つの手段として健康経営に取り組んでいきましょう!

<参考文献>
全国健康保険協会広島支部「令和4年度 健康経営の取組課題としてのメンタルヘルス対策に関する事業所実態調査結果」

© 株式会社ドクタートラスト