【MLB】レンジャーズによぎる12年前の悪夢 今年こそ悲願の世界一を達成できるか

写真:名将ボウチーはレンジャーズを悲願の世界一に導けるか

日本時間24日、レンジャーズはアストロズに勝利し、ワールドシリーズ進出を決めた。レンジャーズは1961年に創設され、これまでに2度ワールドシリーズに進出しているが、過去には世界一を目前にして逆転されるという悪夢を味わった。

レンジャーズが初めてワールドシリーズに進出したのは、2010年のこと。この年は、現在ブルージェイズに所属するブラディミール・ゲレーロJr.の父であるブラディミール・ゲレーロや、先発のC・J・ウィルソン、抑えのネフタリ・フェリスの活躍で11年ぶりに地区優勝を果たした。

ディビジョンシリーズでは、レイズに3勝2敗で競り勝った。続くリーグチャンピオンシップシリーズでは、ヤンキースと対戦。初戦を落とすも2戦目以降は3連勝するなどし、4勝2敗でヤンキースを下して創設50年目で初となるワールドシリーズ進出を決めた。しかしながら、ワールドシリーズではジャイアンツに終始圧倒され、1勝4敗で敗退した。

悪夢が起きたのは、翌2011年である。この年はFAとなったエースのクリフ・リーと再契約を目指すも失敗するなど、開幕前から計画通りには行かなかった。それでも、異なる選手を補強するなどし、前半戦を首位で折り返す。後半戦においても主力が負傷するなどの災難はあったが、マイケル・ヤングの活躍やフェリスの復調もあり、2年連続の地区優勝を果たした。

ディビジョンシリーズでは、2年連続でレイズを撃破し、リーグチャンピオンシップシリーズではタイガースと対戦。初戦は3-2と接戦をものにすると、2戦目は延長11回にネルソン・クルーズがサヨナラ満塁ホームランを放ち、2戦連続で接戦をものにした。その後も接戦を勝利し、4勝2敗でタイガースを下した。ここまでは順調に勝ち進み、2年連続のワールドシリーズ進出を決めたが、悪夢はここからだった。

ワールドシリーズではワイルドカードから勝ち上がってきたカージナルスと対戦。敵地を1勝1敗で終えると、ホームでは2勝1敗と勝ち越してワールドシリーズ制覇に王手をかけ、敵地に再び乗り込んだ。

迎えた第6戦。この試合は序盤から点を取り合う展開となり、6回を終えて3-3の同点であったが、7回に試合が動く。レンジャーズは先頭からの2者連続ホームランなどで3点を追加し、この試合で最大となる3点のリードを奪う。その後1点を失うも、レンジャーズは2点リードで最終回を迎えた。

9回のマウンドに上がったのは守護神フェリス。先頭を打ち取るも、1アウトから二塁打と四球でピンチを招く。だが、続く打者を見逃し三振に打ち取り、悲願の世界一まであと1アウトとした。ここで迎える打者は、デビッド・フリース。フェリスは簡単に追い込み、世界一まであと1球となった。レンジャーズファンは悲願の世界一に期待感を寄せたが、フリース投じた4球目がライトフェンス直撃の同点タイムリーとなり、延長戦に突入した。

何としても得点を奪いたいレンジャーズは10回表に勝ち越しのツーランホームランを放ち、再びリードを奪う。その裏、レンジャーズはピンチを招くも、9回と同様にあと1球で世界一の状況を作る。しかしながら、この場面でも同点に追いつかれ11回に突入した。

リードしたいレンジャーズであったが、この回は勝ち越し点を挙げることができない。その裏、先頭打者に迎えるのは、9回に勝ち越し打を放ったフリース。フルカウントになり、迎えた6球目。フリースが振り抜いた打球はバックスクリーンに飛び込むサヨナラ本塁打となった。レンジャーズは幾度となく勝利の目前に迫ったが、敗戦を喫してカージナルスに逆王手をかけられた。

続く第7戦では、終始カージナルスに主導権を奪われ、呆気なく敗戦してしまった。2度も世界一まであと1球と迫りながら、レンジャーズは勝ち切ることができず、悲願の世界一は持ち越しとなった。

この悪夢を経験した選手は今のレンジャーズにはいないが、ファンの多くはこの記憶を忘れていないだろう。王者アストロズを退けたレンジャーズは、今年こそ悲願の世界一を達成できるのだろうか。

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