10代の活躍は良いことばかりでもない? 衝撃33秒弾、バルサの“ギウケース”で再燃する課題とは

写真:衝撃のデビュー弾を決めたバルセロナのギウ ©Getty Images

若くして脚光を浴びる選手たちが数多く存在するが、それは決して良いことばかりではないのかもしれない。

現地時間10月22日に行われたラ・リーガ第10節のアスレティック・ビルバオ戦で、バルセロナのシャビ監督は79分にU-17スペイン代表FWマルク・ギウをピッチに送り出した。すると、ギウは途中投入から33秒後にいきなりゴールを奪取。17歳291日にしてトップチームデビュー戦でゴールを挙げたギウは、バルセロナ史上最年少デビュー弾を決めた選手となった。

一夜にして世界中から注目される存在となったギウ。だが、スペインメディア『Relevo』は「それが必ずしも喜ばしいことではないかもしれない」と伝えている。

『Relevo』は、ギウのSNSのフォロワーがたった一夜で約45,000人から約600,000人に跳ね上がったことを紹介しつつ、次のように警鐘を鳴らしている。

「シャビがトップチームを指揮するようになってから、約2年間で14名の生え抜き選手がデビューを果たした。ユースの選手たちからすれば、これは甘美なご褒美に思えるだろうが、結局のところ、バルセロナでトップチームに残ることのできる若手はごく一握りだ」

同メディアは、現在のバルセロナが苦しい財政状況に置かれており、それが若手の早期抜てきにつながっていると分析。また、近年には新型コロナウイルス流行の影響でベストメンバーを組めず、ユース出身選手が「準備の整わないまま」先発出場するケースがあったことも強調した。

今回のギウも、アスレティック・ビルバオ戦では負傷欠場中のポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキの穴を埋める存在として招集されていた。『Relevo』は、10代選手を取り巻く環境の劇的な変化には注意が必要だとしている。

「若手がデビューする際の主な問題の一つは、突如として彼らの現実が変わってしまうことだ。50,000人の観客の前でプレーしたかと思えば、数日後にはユースの選手として地方に遠征して、800人足らずの観客の前でプレーすることになる」

一方、2003-04シーズンにバルセロナのトップチームでデビューした経験を持つオリオール・リエラ氏は「今の16歳は、私たちの時代の18歳くらい大人だ」と、現在の若手の方がより成熟していると見ている。

「私がユースにいた頃、トップチームの(ハビエル・)サビオラはまさに“巨人”だった。手の届かない存在だったんだ。でも、今の若い子たちはもっと準備ができている。より自然にメディアと接する力も持っているね」

アスレティック・ビルバオ戦のギウは、限られた出場時間を最大限に生かした。しかし、トップチームで結果を残した以上、今後は主戦場のBチームやUEFAユースリーグでより厳しい目を向けられることになる。『Relevo』は「すべての試合、すべてのシュートが分析される。虫眼鏡で見られることに慣れなければならない」と伝えた。

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