「沢の水を飲むなどして…」 北アルプス〝最奥地〟で「道に迷った」 20代2人が生還【長野】

4日前に道に迷ってから1人は23日夜、もう1人は24日朝、生還しました。北アルプスの〝最奥地〟で遭難した男性2人組。沢の水を飲むなどして生き延びたそうですが、生死を分けたものとは。

24日朝、松本空港を飛び立った県警ヘリ。向かった先は、北アルプス。〝日本最後の秘境〟と呼ばれるエリア周辺です。

山肌に降り立った県警山岳遭難救助隊員…沢を渡っていくと…

「お待たせ!」
「すみません…」

午前6時半すぎ、道に迷ってから4日ぶりに救助されたのは東京の23歳の大学生です。震えが止まらない男性…低体温症とみられます。

「ご家族は?父ちゃんと母ちゃんがいる?」
「弟がいます」
「弟もいるね。はいよ。頑張れよ!まだ安心すんな!病院まで、病院まで!」

大学生は、東京の26歳・自営業の男性と一緒に6日前、山に入りました。
一体、何があったのか…警察への取材を基に2人の足跡を辿ります。
今月18日、大町市の七倉登山口から入山。紅葉の名所・高瀬ダムや、温泉がつくり出す国の天然記念物・〝噴湯丘〟で知られる湯俣を経て、伊藤新道、そして、竹村新道という上級者向けのコースを1泊2日で行く予定でした。

ところが、今月19日・午後5時すぎ。スマートフォンから「もう1泊する」と家族宛てにメール。伊藤新道の最終地点・三俣山荘の近くで野営をしました。
翌・20日、竹村新道の入り口・水晶小屋付近まで来たものの、この辺りで道に迷い…午後4時ごろ、東沢谷という沢まで下りたところで行動不能に陥りました。
男子大学生がけさ救助された場所です。ここで、きのう23日朝まで2人で野営を続けました。
そして、体力が回復した自営業の男性が稜線まで登り、野口五郎岳・烏帽子岳を縦走する形で、23日午後7時ごろ出発地点の七倉登山口まで1人で下山。その後、保護された男性が警察に野営場所を伝え、24日朝の救助に至りました。

警察によりますと、遭難した2人の登山歴はおよそ1年と3年でした。スマートフォンの地図を頼りに行動していたものの、バッテリーを持っておらず電源が切れたことで道に迷った可能性があるということです。

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