国境なき医師団、物資供給を遮断されたためハルツームの病院での手術活動を中断

国境なき医師団(MSF)は10月18日、スーダン軍当局がワドメダニからハルツーム南部への外科用資材の輸送を1カ月以上にわたって遮断したため、ハルツーム南部のバシャール教育病院における救命外科活動(外傷手術や帝王切開など)への支援を停止する、と発表した。 「バシャール病院での救命外科治療の支援を止めなければならないのは痛恨なことです。この病院の救急治療室は5月中旬以来5000人近い患者を受け入れ、MSFの外科チームは3000件以上の外科手術を行ってきました。ニーズは膨大です。手術を行うために必要な薬や資材をブロックすることは、人びとが切実に必要としている医療を奪うことになります」と、MSFの外科専門家、シャジール・マジードは述べた。 MSFは5月中旬から、バシャール教育病院で保健省のスタッフやボランティアとともに活動を開始した。軍当局は9月8日以降、MSFがワドメダニの倉庫からハルツーム南部の病院に新しい手術用品を運ぶ許可を出さなくなった。バシャール病院のMSFの手術用品は底をつき、手術活動の継続が不可能になっている。

MSが外科手術を支援してきたバシャール教育病院 © MSF

「数週間にわたる話し合いの末、ワドメダニの軍当局は10月1日、帝王切開用の物資を含め、南ハルツームの病院への手術用物資の輸送を一切許可しないと通告してきた。それ以来、保健当局との度重なる交渉にもかかわらず、これらの物資は遮断されたままであり、病院内の在庫も枯渇している。バシャール教育病院での外科活動への支援を中断し、外科チームを一時的に撤退させるしかありません」とスーダン担当の業務コーディネーターのミヒエル・ホフマンは述べた。 「医学的に義務づけられている救命処置ができなくなったのに、医療チームに留まるよう求めることはできません」 MSFは、バシャール病院での妊産婦ケア、救急医療、外来診療の支援を継続する。MSFはハルツームとオムドゥルマンにある他の3つの基幹病院で、医療の提供と支援を続けているが、これらの病院でも物資が不足しているところがある。ハルツーム南部にあるトルコ病院も物資封鎖の影響を受けており、2週間以内に外科用物資が底をつきそうだ。 MSFは、このような物資供給の滞りを解消するため、関係する各当局と協議を続けている。 MSFは、供給ラインが回復すれば、外科活動を再開する用意がある。

スーダンにおけるMSFの活動

MSFは1979年からスーダンで活動している。現在、スーダンのハルツーム州とハルツーム市、ジャジーラ、白ナイル、青ナイル、ナイル川、ゲダレフ、西ダルフール、北ダルフール、中部ダルフール、南ダルフールの10州で活動している。 スーダンのMSFチームは、爆風による負傷や銃創など、戦闘で負傷した人びとの治療、感染性・非感染性疾患の治療、妊産婦や小児科のケア、国内避難民の人びとが集まる場所での移動診療の実施、水と衛生の支援、寄贈や保健省スタッフへの奨励金、訓練や後方支援による医療施設の支援などを行っている。MSFはまた、紛争開始前からの活動の一部も継続している。 MSFスーダンの緊急対応は、2023年までに7600万ユーロの予算と、スーダン人スタッフ1145人、海外スタッフ57人のチームで運営されている。MSFはまた、保健省スタッフ約1,358人に対する報奨金も支出している。

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