宮城県の4病院再編構想が争点の1つに 県議会議員選挙・名取選挙区の候補者たちの選挙戦

22日に投開票が行われた宮城県議会議員選挙は、物価高対策や子育て支援などに加え、県の4病院再編構想も争点の1つとして論戦が繰り広げられました。再編対象の病院が立地している名取選挙区では、候補者たちはどのようにこの争点と向き合っていたのでしょうか。選挙戦を振り返ります。

4病院再編構想は、名取市にある県立精神医療センターと仙台市青葉区の東北労災病院を合築して富谷市に移転し、名取市の県立がんセンターと仙台市太白区の仙台赤十字病院を統合して名取市に新しい総合病院を作る構想です。

宮城県の4病院再編構想

再編対象の2つの病院が立地している名取選挙区では、定数2に対し3人が立候補しました。現職が構想の大枠への理解を求めるのに対し、新人2人が精神医療センターの移転反対を明確に訴える構図となりました。

自民現・村上久仁氏「名取市に総合病院が無い、これで安心安全な暮らしができるのか。1つ1つに反対し全体を見ない、そういった政策が通るのか、私はこの戦いで訴えていきたいと思います」
立憲新・荒川洋平氏「県立精神医療センターは富谷市への移転は反対です。計画を決める前に関係者の意見を聞いたんでしょうか。聞いていないんですトップダウンで全て押してきている。それに私は大いな疑問を感じます」
無所属新・大友康信氏「4病院の再編から精神医療センターについては切り離して考えるべき、切り離して移転はしてはいけないと考えております。これまで積み上げてきたものが移転してしまったらリセットされてしまうんです」

3選を目指した自民党の現職、村上久仁氏。個人演説会などでは4病院再編構想の必要性を説きましたが肯定的な主張をすると票が減るのではないか、そんな不安を覚えると共に、もっと地域ごとの課題に言及しなければならないと感じていました。
自民現・村上久仁氏「(ここなら)那智が丘だから4病院よりも交通弱者はどうするんだとか、買い物弱者どうするんだという話の方が本来話題になるべき話かなと思うんですけど」

立憲民主党の新人、荒川洋平氏は演説で真っ先に4病院再編構想について取り上げますが、この訴えが響いているのは病院関係者など一部の有権者にとどまると感じていました。
立憲新・荒川洋平氏「正直なところ県議選自体の認知度が低い。プラス4病院の問題を皆様がどこまで把握しているか個人差もありますが、それは反応は良くないと思ってます。なので私が訴える内容としては、病院のことだけではないので地域のことも絡めながら戦っている状況」

無所属の新人、大友康信氏は名取選挙区の候補者の中ではただ1人、挙公報で病院再編構想について触れ、精神医療センター移転反対と記しました。
無所属新・大友康信氏「実際に利用されている患者の方々、医療センターに勤めていた方々、がんセンターに勤めていた方々、もう引退された方も含めてですが、歩いている中で是非これだけは絶対反対してということを強く言われ」

22日の投票日に、有権者は何を重視して1票を投じたのでしょうか。
「子どもに政策を割いてくれる人に投票しました」「地元のためにやってくれる人っていうか。住み良い街とかありますけどいい街にしてほしいですね」「(4病院再編構想は)あまり関心は無かったです」「精神医療の病院大変だろうなと思っていたのですけど、それを政策に挙げていた人がいたので取りやめをそこを見て」

そして迎えた開票の結果、病院再編構想が選挙にどのように影響したのか候補者それぞれに受け止め方は違います。
立憲新・荒川洋平氏「4病院再編構想がそれほど有権者の皆様の判断基準になったとは思いません。ただ問題としては非常に市として県としては大きい問題なので、これは私は訴えなければいけない政策の1つだと考えていました」
自民現・村上久仁氏「思った以上に4病院関係、特に精神医療センターが逆風になったのかなと思います。無党派層と言われる人たちがたいぶそちら(反対)の風に乗ったのかなと」
無所属新・大友康信氏「精神医療センターの移転反対は皆さんから強く言われました。名取選挙区においては争点の一つだったと思います」

選挙から一夜明けた23日、村井宮城県知事は4病院再編構想について次にように話しました。
村井知事「4病院が争点だと皆さんおっしゃったがそれだけで県民は選んでいない。私は4病院の再編の進め方は変えるつもりはありません」

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