エバンス、初戴冠への望みは捨てず「勝負が終わったわけではない」/2023年WRC第12戦CER 事前コメント

 WRC世界ラリー選手権史上初の試みとして、ドイツ、チェコ、オーストリアの3カ国をまたぐかたちで行われる『セントラル・ヨーロピアン・ラリー(CER)』が、まもなく開幕のときを迎える。10月26~29日に開催される4月以来、ひさびさのターマック(舗装路)イベントを前に、シリーズのトップカテゴリーに参戦しているMスポーツ・フォード、ヒョンデ、トヨタの3メーカーから今大会に臨むドライバーたちのコメントが発表されている。

■Mスポーツ・フォードWRT

●オット・タナク(#8 フォード・プーマ・ラリー1)

「ターマックのラリーは久しぶりだし、このイベントはカレンダーのなかでも新しいものだ。僕たちにとって大きな挑戦になるだろう。僕たちの明確な目標は、最後のふたつのイベントから最大限の結果を引き出すことだ」

「すべてが初めてのことになるから、このラリーに何かを期待するのはとても難しい。それに天気も大きく影響すると確信しているから、すべての目標を達成するために、そうしたことに取り組んでいく必要がある」

「チリは今シーズン最後のグラベルイベントだったが、チームと一緒に成功(シーズン2度目の総合優勝)を祝うことができてとてもいい気分だった。でもまだ仕事は終わっていない。あとふたつあるからね。僕たちはプッシュを続けていくよ」

●ピエール-ルイ・ルーベ(#7 フォード・プーマ・ラリー1)

「ベンジャミン(・ヴェイラス/コドライバー)と最初のラリーに出ることができてうれしいよ。チリでの事故の後だから、自信を取り戻してクリーンなラリーにする必要がある。もちろんドイツでのドライビングも楽しみたい」

「今週のテスト中に、プーマでターマックに戻れたのはいい気分だった。イベントの展開を楽しみにしているよ」

●グレゴワール・ミュンスター(#13 フォード・プーマ・ラリー1)

「チリで学んだ主なことは、走行中のハイブリッド機能だ。いつどういった状況で使うかということだ。また、空力についても理解し、走行順にも慣れた。僕たちはラリー2より早くスタートしていたからね。その経験を今回のターマックのイベントで活かせるかどうかはわからない。出走順はまた変わるからだ」

「ターマックではよりトラクションが掛かるから、すべてが違う感じになる。でもテストではこの路面でのマシンに慣れようとしていたし、セットアップではいくつか違うことを試したよ」

「マシンにはもちろん素晴らしい土台があり、スタートするのに大きな自信を与えてくれるが、ラリー中にコンディションが変わった場合に備えて、より多くのアイデアを持つことも役に立つ。それによって、このセットアップでどの方向へ進めるかがわかるんだ」

今大会からベンジャミン・ヴェイラスを新しいコドライバーに迎えるピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)
WRC第11戦チリでシーズン2勝目を挙げたMスポーツ・フォードWRTとオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)

■ヒョンデ・シェル・モビスWRT

●ティエリー・ヌービル(#11 ヒョンデi20 Nラリー1)

「カレンダーのなかでも新しいイベントだ。初めての道を発見していくチャンスは、いつもエキサイティングなものだ。これはターマックイベントで、僕はいつもこの種のラリーを走るのが好きだから、楽しみにしている」

「パッサウ、プラハ、そしてオーストリアのステージにわたる長いイベントになるだろう。これまでのカレンダーのなかでも、リエゾンの距離が一番長い。だからステージ間の移動が長くなるけど、エキサイティングに違いないと思うよ」

「通常、主催者からはステージの映像が送られてくるから、とくにイベント前のテストに先立って映像を見て、何の準備をしなければならないかを確認する。これは、3日間にわたって3つの異なったタイプの道路を走る可能性があるラリーでは重要なことだ。しっかりと準備をする必要があるし、それが僕たちが主にできることだ。他のすべてのラリーと同様に、目標は優勝だ」

●エサペッカ・ラッピ(#4 ヒョンデi20 Nラリー1)

「面白いコンセプトで僕はとても気に入っている。トップレベルのラリーでこうしたものが見られるのは初めてだ。金曜日は厳しいものになるだろう。僕は過去の経験から、チェコの道路がどのようなものか知っている。オーストリアのことはあまりよく知らないが、ドイツについてはラリー・ドイチェランドのおかげで経験がある」

「今の時期は雨がよく降るし落ち葉もあるから、あらゆる自然の要素に対処するのは大変だろう。週末にまたがって、3つの異なる特徴があると確信している。3つの違う国に行くわけだからね。これまでターマックでこのような変化を経験したことはないと思うから、準備をする上で類のないイベントになるはずだ。目標はプッシュすること。そうすれば最後の結果が良いものになると確信している」

●テーム・スニネン(#3 ヒョンデi20 Nラリー1)

「セントラル・ヨーロピアン・ラリーはとても厳しいものになるだろう。3つの違う国で行われるから、道路の特徴が大きく異なることが予想される。同じターマックと言っても、それぞれ特徴があるだろうし変化も大きいだろうから、大きな挑戦になる」

「とくに僕にとっては、ヒョンデi20 Nラリー1でのラリーはターマックでは初めてだからね。オーストリアではとてもいいテストができたし、走行経験も積むことができた。でもセントラル・ヨーロピアン・ラリーが開催されるのはその時からしばらく後ということになるから、カレンダーのなかでももっとも難しいターマックラリーになるだろう」

「また(季節的にも)コンディションはトリッキーになるし、このラリーで初めて経験するものになる。秋の寒いコンディションになってきている。木から葉が落ち始めるということは、ターマックが汚れるということだ」

「目標は完走することと、ステージでの時間からできる限り多くのことを学ぶことだ。ヒョンデがターマックでの僕のペースを見たいと考えているということには大きな意味があるので、チーム全体のためにも好結果を出して週末を終えたい」

ヒョンデ・シェル・モビスWRTのヒョンデi20 Nラリー1(エサペッカ・ラッピ)
最終戦ラリージャパンはダニ・ソルドが出場するため、テーム・スニネンのヒョンデi20 Nラリー1でのプログラムは今大会がシーズン最後となる

■TOYOTA GAZOO Racing WRT

●カッレ・ロバンペラ(#69 トヨタGRヤリス・ラリー1)

「マニュファクチャラー選手権を獲得できたことは、チーム全体にとって大きな成果だ。そしてこれからは、シーズン最後の2戦でドライバーズタイトルとコドライバーズタイトルを勝ち取るためハードにプッシュしていくことになる」

「チームメイト同士の戦いは、同じクルマに乗り、友好的かつフェアなものなので、きっといい戦いになると思う。ラリーカーでふたたびターマックを走ることができるのは嬉しいし、テストではすぐにクルマに慣れることができたので、ラリー本番でもそうなることを期待している」

「通常、このようなタイプのターマックラリーは自分たちにもっとも合っているし、この種の道では何度かいい結果を残しているから、自分たちにとっていいイベントになるだろうという自信もある」

●エルフィン・エバンス(#33 トヨタGRヤリス・ラリー1)

「今シーズンも残り2戦となったが、チャンピオンシップではカッレ(・ロバンペラ)にまだ大きな差をつけられている。とはいえ勝負が終わったわけではないし、状況が急激に変化することもあるので、シーズンを締めくくる2戦でプレッシャーをかけられるように、全力を尽くして戦うつもりだ」

「今回は誰にとっても新しいラリーになるだろうし、3つの異なる国でステージが行われるので、どこでも通用するセットアップを準備する必要がある。新しいラリーにおいては、ステージがどのようなものになるかを映像だけで判断することは難しいけれど、天候が路面の汚れ具合やグリップの良し悪しに大きな影響を及ぼすことは、間違いないと思う」

●セバスチャン・オジエ(#17 トヨタGRヤリス・ラリー1)

「チームがふたたびマニュファクチャラー王者になったことを本当に嬉しく思うし、今シーズンの彼らの素晴らしい仕事ぶりを考えれば、当然の結果だと思う。このラリーがどのようなものになるかは分からないが、新しい挑戦にはいつも心が踊るよ」

「最近住んでいる(ミュンヘンの)家からも近いし、多くのラリーファンが観戦し、応援してくれることを期待している。自分の出走順が最適かどうかは分からないけど、おそらく天候に左右されるだろう」

「路面がドライならば上位争いをできると思うが、もしもウエットになると自分の前に数台が走った後ではよりトリッキーなステージコンディションになるかもしれない。それでも、僕はいかなるラリーでも可能な限りいい結果を得ることを目標に置いてスタートするし、きっと楽しむことができるはずだ」

プレイベントテストを行うTOYOTA GAZOO Racing WRTのトヨタGRヤリス・ラリー1

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