BUCK-TICK櫻井敦司さんの命を奪った「脳幹出血」とは

(公式サイトより)亡くなった櫻井敦司さん

 人気ロックバンド・BUCK-TICKの櫻井敦司さんが19日に脳幹出血のため亡くなっていたことがバンドの公式サイトで発表された。57歳。19日に横浜で開催されたファンクラブ向けのライブの途中で体調不良になり、救急搬送されていた。

倒れた直後もステージを続行

 櫻井さんは19日にバンドメンバーとともにKT Zepp Yokohama(横浜市)でファンクラブ向けのライブを開催、開演直後に体調不良となり転倒したが、その後も2曲ほど歌い上げた。しかし自身もただならぬ異変を感じたのか、その後スタッフと数分間会話したあと、ステージを中断、退出。ライブはそのまま中止となった。所属事務所はこの際「大事をとって救急搬送した」としていたが、しかし、その直後に亡くなってしまったことになる。

 BUCK-TICKは日本のビジュアル系ロックバンドの草分け、先駆者ともいえる存在で、このバンドに憧れて多くの後進がデビューし、日本音楽界の大きないちジャンルを形成するまでになった。まさにアーティストが憧れるレジェンドだっただけに、この突然の死は大きな衝撃を与えている。

櫻井さんの命を奪った脳幹出血とは

 櫻井さんの命を奪った「脳幹出血」とはどういった病気なのか解説したい。脳幹出血は、脳の中心部にある脳幹に出血を起こす脳卒中の1つ。脳幹は心臓や呼吸、意識などの重要な生命維持機能を担っているため、脳卒中のなかでも非常に深刻なものとされる。発症時の出血の状態によるが、国内である程度の症例をまとめた統計によれば、調査した212人の患者のうち死亡が122人(57.5%)、食物状態が23人(10.8%)と非常に予後が悪い。発症時の意識不明など状態が悪ければ、回復の見込みは低くなる。プロレスラーの橋本真也さん、歌手の桑名正博さんの命を奪ったのもこの病気だ。

 脳幹出血の原因は、脳卒中と同じく主に動脈硬化が原因とされており、生活上の危険因子としても同じく高血圧、喫煙、肥満、糖尿病、脂質異常症などがあげられる。脳幹出血だけを恐れるのではなく、生活習慣病のリスクと向き合い、食事、運動、睡眠などの生活様式を整えることが予防につながると考えられる。

 櫻井さんは不幸にも57歳で発症したが、厚生労働省の統計によると、脳血管疾患については40代後半から発症する人が大幅に増え、50代後半の数は40代前半と比べて実に3倍以上になっている。まさに櫻井さんはこの統計通りになってしまったということである。該当する年齢の方は、日頃の生活を見直してリスクを減らすようにした方がいいだろう。

 日本のロックバンドのいち分野を先駆者として切り開いてきた櫻井さんのご冥福を改めて祈りたい。

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