末次さんの決断

 衆院の小選挙区で敗れ、比例代表で復活当選した議員のことを“死んだはずなのに生き返る”ことから「ゾンビ当選」などと呼ぶことがある。ヒレイ極まりない話である-と、不出来極まりない駄じゃれはさておき▲比例で重複立候補の当選者が決まる際には小選挙区の結果が必然的に先行するが、選挙区と比例には「主・従」や「優・劣」のような関係はない。バッジの色は同じだし、「復活」と名札を下げて国会を歩くわけでもない▲衆院の選挙制度が現在の形になった時から“比例復活者”が県内の選挙区から生まれるのは歓迎すべきことだ-と、ずっと考えてきた。接戦も惜敗も、広い意味では有権者の選択の結果だ。それに「長崎の国会議員」は1人でも多い方が心強い▲だから、前回の衆院選で復活当選を果たして得た議員バッジを外して先の衆院長崎4区補選に立候補した末次精一さん=立憲民主=の決断に実は首をかしげていた。何も辞めてまで、と▲記事によると〈自分が出なければ、有権者の選択の機会を奪うことになる、保身に走ってはいけない〉-と考えたらしい。申し訳ないが、何かを説明してもらえた気分になれない▲議席は議員の私物ではない。国会で働くことをどうして優先できなかったのだろう。だから負けた、とは言わないが。(智)

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