強制不妊手術、二審も賠償命令 初の時効適用、仙台高裁

旧優生保護法下の強制不妊手術を巡る訴訟の控訴審判決で、「勝訴」などと書かれた紙を掲げる原告側弁護士ら=25日午後、仙台高裁前

 旧優生保護法下で不妊手術を強いられたのは憲法違反として、宮城県の千葉広和さん(75)と80代の男性2人が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は25日、「旧法は違憲」として計3300万円の賠償を命じた一審仙台地裁判決を支持、国側の控訴を棄却した。

 手術から20年以上が過ぎ、原告の損害賠償請求権が消滅したかどうかが争点だった。小林久起裁判長は一連の同種訴訟で初めて、事情によっては期間を延ばせる「時効」の考え方を採用し「原告の請求権は消滅しない」と判断した。被害者救済の門戸が広がる可能性がある。

 同種訴訟のうち高裁段階の判決は7件目で、うち国に賠償を命じた判決は5件となった。

 判決では、国は長期間、優生手術の拡大を目的とした政策を継続し障害者への差別や偏見を正当化してきたと指摘。被害者が損害賠償請求をすることは著しく困難だったと認定した。

 全国被害弁護団の新里宏二共同代表は「首相が被害者に面談し謝罪する時期を迎えている」と指摘した。

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