両足のむくみはがんのサインかも 手足を見ればわかる病気の予兆

「〈いつもより足がむくむ〉〈最近、手が震える〉など、異変を感じたら要注意。何か大きな病気のサインかもしれません」

そう警鐘を鳴らすのは、石原クリニック院長で東洋医学に詳しい医学博士の石原結實さん。

今回、手足の状態から疾患がわかる“自己健康診断法”を伝授してもらった。手と足はチェックがしやすく、病気に気がつきやすい。

まず初めに気をつけたいのが、“むくみ”だ。

「両足がむくむ背景には“心疾患”が隠れている可能性があります。心臓の機能が低下すると、血液を全身に送る力が弱まり、尿の出が悪くなるためむくみがひどくなるんです」

さらに、肝臓や腎臓になんらかの慢性疾患がある場合も考えられる。がんの可能性もあるのだ。

「肝硬変や肝がん、腎疾患があると、血中のアルブミンというタンパク質が不足して足がむくみやすくなります」

足や腕が“片側だけむくむ”場合は、より早い対処が必要な病気が疑われる。

「片足がむくむ場合は、大腿静脈に血栓がある可能性が。放置していると、ふくらはぎにコブのような血管が浮き出る下肢静脈瘤になるリスクもあります。また、まれに子宮のがんが、左右どちらかの大腿部のリンパ節に転移している可能性も。片腕だけむくむ場合も同様で、乳がんや肺がんなどが左右どちらかの脇下リンパ節に転移していることも考えられます」

■気になったら早めの受診を

女性に多い“脂質異常症”は、アキレス腱を見ればわかる。

「踵の付け根にあるアキレス腱の幅は、通常0.9CM以内が正常ですが、血中コレステロール値が300mg/dl以上になると、2cm以上に肥大します。これは、悪玉コレステロールがアキレス腱のコラーゲン繊維と結びつくためです」

脂質異常症を放置すると動脈硬化を引き起こすリスクもある。

足の親指の付け根が腫れ、熱と痛みがある場合は“痛風”の可能性が高い。

「尿酸は血流に乗って全身を巡っていますが、足の体温は約25度とほかの場所に比べて低いため、足の親指で尿酸が固まって発症しやすいのです」

また、こむら返りは下半身の衰えが原因のことも。よくなる人は筋力アップに努めよう。

手指の異変も見逃せない。

「起床時に手のこわばりがある場合は、リウマチの初期サインかもしれません。また、手の甲の皮膚が硬くなって握りづらい場合は、膠原病の一種である“強皮症”が疑われます。手先が蒼白になる場合は、血行障害であるレイノー症候群や膠原病の可能性も」

手指の震えは、次のような病気のサインかもしれない。

「甲状腺ホルモン過多で震えが生じるバセドウ病のほか、震えが静止中に起きる場合は、パーキンソン病の可能性が。動かしているときに震える場合は、小脳に腫瘍などの疾患や中枢神経の病いである多発性硬化症などの可能性があります」

日ごろから手足の状態をよく観察すると、病状が進行する前に気づくことができる。

気になる症状がある場合は、医療機関を受診して早めの診断を!

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