【MLB】“サイヤング賞の最有力候補”だけでは勝てない ヤンキースは日本最高の投手を獲得できるか

写真:サイ・ヤング賞最有力候補のコール

ニューヨーク・ヤンキースはゲリット・コールだけでは優勝できないことを改めて痛感したのだろう。この冬は先発投手を補強すべく、山本由伸の獲得を目指すと予想される。

メジャーリーグ公式ホームページ『MLB.com』は10月25日、「このオフにヤンキースが直面する5つの問題」という記事を掲載した。いくつかの問題を抱えているものの、とくに目立つのは先発ローテーションだ。同メディアは「コールがサイヤング賞を受賞すると予想されるが、今シーズンを通してコールだけでは持ちこたえられないことが分かった」とし「ヤンキースは山本由伸の獲得を狙うだろう」と伝えた。

今季、コールは最高のシーズンを送った。33試合に先発登板して209イニングを消化し、15勝4敗、防御率2.63、222奪三振を記録し、WHIPは0.98だった。ア・リーグで防御率、投球回、WHIPともに1位となり、奪三振は3位にランクインした。こうした活躍により、初のサイヤング賞が有力視されている。

コールの奮闘にもかかわらず、ヤンキースは82勝80敗、勝率0.506で、ア・リーグ東地区の4位にとどまった。ワイルドカード争いでも5位にとどまり、プレーオフ進出を逃した。

特に投手陣の限界が明らかになった。コールを除けば、二桁勝利を挙げた投手は一人もいない。クラーク・シュミットが9勝9敗、防御率4.64、ジョニー・ブリートが9勝7敗、防御率4.28。意欲的に獲得したカルロス・ロドンに至っては、3勝8敗、防御率6.85と深刻な不振に苦しんだ。

だからこそ、ヤンキースは先発ローテーションの補強が急務となっている。『MLB.com』は「ブライアン・キャッシュマンGMは9月10日、日本に飛び、オリックスでプレーしている山本由伸の試合を見守った。そしてこの日、山本はノーヒットノーランを達成した。ヤンキースの獲得のターゲットになるものと予想される」と伝えた。

山本由伸は日本プロ野球を代表する右腕だ。157km/hにも及ぶ剛速球で、プロ野球の舞台を牛耳っている。山本は2021年と2022年にかけて2年連続で投手5冠に輝いた。日本プロ野球史上初めての記録だ。今年も23試合で16勝6敗、防御率1.21を記録し、複数のメジャーリーグ球団の関心を集めている。

山本獲得を狙う球団は少なくないため、「悪の帝国」と呼ばれるヤンキースが獲得できるかは未知数だ。『MLB.com』も「25歳の山本をめぐっては、多くの競争が繰り広げられるだろう」と伝えている。

山本を獲得できなかったとしても、リリーフで活躍したマイケル・キングが先発投手への転換を控えている。さらに、ネスター・コーテズが負傷から復帰すれば、以前のようなエース級の活躍が期待される。ロドンが本来の調子を取り戻せば、先発ローテーションの厚みは増すだろう。

果たして、ヤンキースは日本球界きってのエースを獲得できるのだろうか。

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