シャープ栃木工場跡地、製材業のトーセン(矢板)が取得 製材工場やバイオマス発電運営へ

トーセンが未利用地を取得したシャープ栃木工場跡地=矢板市早川町

 2018年に半世紀にわたるテレビの生産を終了した栃木県矢板市早川町のシャープ栃木工場の跡地を、製材業のトーセン(矢板市山田、東泉清寿(とうせんせいじゅ)社長)が取得したことが25日、関係者への取材で分かった。取得面積はシャープが売却を検討していた約23ヘクタール全てで、取得した敷地の3分の1ほどを使って製材工場やバイオマス発電施設を稼働させる。残りの土地は、民間企業などに貸し出す方針。

 シャープ栃木工場は1968年に操業を開始し、カラーテレビの生産を始めた。ピーク時の86年には3100人超が開発生産に従事するなど、同市はシャープの企業城下町と称されてきた。

 液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」などを製造していたが、液晶パネル事業の不振で経営危機に陥ったシャープは2016年8月、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入った。徹底したコスト削減など経営改革を進め、18年12月、栃木工場でのテレビ生産を終了した。現在も敷地の一部は物流拠点として継続使用している。

 関係者によると、トーセンが取得したのは敷地面積約32.6ヘクタールのうち約23ヘクタール。国道4号沿いで東北自動車道矢板インターチェンジにアクセスしやすい好立地から跡地活用の行方が注目されていた中、地元企業への売却が決まった。

 トーセンは第1工場や食堂の建物が残る北側に、建物を活用して自社の製材工場を整備する。また、バイオマス発電施設を建設し、地域の脱炭素化を推進するとみられる。第4工場や社宅などがある残りの土地は民間企業などに貸し出し、雇用創出も目指す。

 同社は1964年創業。本県や群馬、山形など5県に、加工工場などを構える。木材の加工・販売のほか、木材チップを活用したバイオマス発電施設も運営している。

© 株式会社下野新聞社