春の高校バレー県予選前特集 女子(4) 勝利への執念が増す東龍に隙なし 【大分県】

来月3日、全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)の県予選が始まる。女子は28チームが参加し、夢舞台を目指す。24連覇を目指す東九州龍谷(東龍)を優勝候補筆頭に、対抗馬の大分商業も確実に絶対王者との差を縮めている。今回は4強の戦いを展望。最終回は東龍、大会に向けて調子を上げている。

単独チームで臨んだ鹿児島国体は、けがで離脱中のリベロの高橋葵(3年)に加え、大会直前にエースの岡部詩音(同)が右手を負傷し、万全といえないチーム状態だった。優勝した東京都代表(下北沢成徳高の単独チーム)に2回戦で負けたが、春の高校バレーに向けて課題が明確になった。相原昇監督は「高さとパワーに対抗するには、スピードとコンビネーションを磨き、精度を上げるしかない」と語る。

目指すスタイルは、「高速コンビバレー」。これまで何度も日本一になった東龍の代名詞だ。昨年は大型でパワーのあるエースがいたため、高速コンビバレーを封印していたが、今年は新チーム結成して早い段階から、通常の東龍スタイルに戻していた。セッターの真田和佳(3年)には、ネット上部の白帯と平行に流れるトスを速く正確に上げることを求めた。「テンポを上げても精度を落とさないことを追求した」(真田)と繰り返しトスを上げ続けたことで、今では速いトス回しで相手ブロックを翻弄できるまでになった。

高速コンビバレーの成熟を図る東龍

春の高校バレー県予選では24連覇がかかる。戦力を見れば他校を圧倒しているが油断はない。すでに初戦から対戦相手のデータを備え、ローテーションごとに狙いを定める。どんな相手でも手を抜くことなどない。「私たち3年生にとっては最後の大会。絶対に負けるわけにはいかない」(高橋)との思いは日を追うごとに増している。

国体で敗戦したその日に、3年生のベンチメンバーはホテルの一室に集まり、敗因を探った。中津に帰ってからは、応援席から見ていたベンチ外の選手を含めてミーティングを行った。「戦う姿勢、勝ちたい思いが足りない」との指摘にレギュラーメンバーは奮い立った。岡部は「コートに立てないメンバーの思いを共有できた。26人で戦う最後の大会。覚悟を持ってプレーしなければいけない」と奮起を誓う。県予選が全国への通過点との思いはない。一戦必勝、王者に隙はない。

初戦から全力プレーで勝ち上がる

(柚野真也)

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