大分市財政見通し、累計62億円の収支不足 23~27年度、投資的経費が倍増【大分県】

大分市の財政収支中期見通し(上)と主要3基金の残高見込み

 【大分】大分市は25日、2023~27年度の財政収支の中期見通しを発表した。社会経済活動の活性化に伴う税収増が期待される一方、公共施設の建設・改修などで投資的経費が倍増。累計62億円の収支不足が生じると見込む。

 23年度の財政状況を基に、国の制度改正や社会経済情勢の変化を踏まえて試算した。不足額は▽24年度 20億円▽25年度 9億円▽26年度 10億円▽27年度 23億円。主要3基金(財政調整、減債、市有財産整備)を取り崩して財源に充てる方針。

 歳出は、投資的経費(23年度は292億円)が27年度に586億円まで膨らむ。荷揚町小跡地の複合公共施設(24年4月開所)や大在東小(同4月開校)の整備事業費減少などで、24年度は前年度比68億円減となるものの、25年度以降は広域ごみ処理施設「新環境センター」の整備などで増加していく。障害者福祉関連の扶助費も年々増え、5年間で36億円増となる。

 歳入は、24年度の個人・法人市民税など市税が23年度に比べて8億円増。新型コロナウイルス禍の影響を受けた経済情勢が回復すると予想する。国県支出金は新型コロナ対策事業費の減少などで一時的に減るが、25年度以降は建設事業費・扶助費などに連動して増加するとみられる。

 投資的経費の財源で、借金に当たる市債の残高(23年度は1654億円)は26年度に増加に転じ、27年度時点で1835億円に達するという。「200億円」を目安にしてきた主要3基金残高は昨年度発表時より改善を見込むが、27年度に100億円を割り込む見通し。

 財政の弾力性を示す経常収支比率は95%前後で推移。硬直的な財政状況が続く。

 足立信也市長は25日の定例会見で、物価高騰の影響や、災害など不測の事態を懸念事項に挙げ、「財政収支の見通しは厳しい状況。これまで以上に徹底した事業の選択、見直しを実行したい」と話した。

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