那須雪崩事故刑事裁判 元教諭の被告人質問「訓練範囲は安全」と認識

 那須町で登山講習中だった大田原高校の生徒と教諭合わせて8人が、雪崩に巻き込まれて死亡した事故で、業務上過失致死傷の罪に問われている講習会の責任者だった男性教諭3人の刑事裁判で、初めてとなる被告人質問が25日に宇都宮地方裁判所で開かれ、元教諭は「訓練範囲は安全だった」などと述べました。

 業務上過失致死傷の罪に問われているのは、当時の講習会の責任者だった猪瀬修一被告(57)と8人が亡くなった先頭の班を引率していた菅又久雄被告(54)、それに後続の班を引率していた渡辺浩典被告(60)の男性教諭3人です。裁判では訓練を始める前に雪崩を予見できたかなどが争われています。

 25日の裁判では、まず県教育委員会の第三者検証委員会委員を務めた雪氷学の専門家が出廷し「現場での雪崩の予見は難しかった」と、自身の見解を述べました。

 続いて、初めての被告人質問が行われ、3人のうち元教諭の渡辺浩典被告が証言台に立ちました。事故当日の朝、訓練を中止して帰宅することは考えなかったかと弁護士に問われた渡辺被告は「帰宅は考えなかった。積雪はそれほど大量ではなく風も強くなく行動できる条件だった」と述べました。また、訓練前に雪崩の危険性を考えたかの問いには、「センターハウス前から事故が起きた斜面は見えておらず、雪崩の可能性を考えていなかった」と述べ「訓練範囲は安全だった」との認識を示しましました。

 次回の公判は11月14日に開かれます。

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