対馬の仏像、日本の所有権確定 韓国最高裁、上告を棄却

観音寺の長崎県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」=2013年1月、韓国・大田(聯合=共同)

 【ソウル共同】長崎県対馬市の観音寺から盗まれ韓国に持ち込まれた仏像を巡り、かつて倭寇に略奪されたとして所有権を主張する韓国中部瑞山の浮石寺が、像を盗品として保管する韓国政府に引き渡しを求めた訴訟で、韓国最高裁は26日、浮石寺の上告を棄却した。観音寺の所有権を認めた二審判決が確定する。

 仏像は長崎県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」。日韓関係を重視する尹錫悦政権は、日本側への早期返還を図る可能性がある。2012年の盗難事件発生から11年。像が戻れば両国関係の安定を印象付けることになりそうだ。

 最高裁は14世紀に仏像を作った「瑞州浮石寺」と現在の浮石寺は同一と認定した一方、観音寺が一定期間にわたり平穏、公然と持つことで所有権が認められる民法上の「取得時効」が成立しているとした二審大田高裁の判断を支持した。

 観音寺の田中節竜住職(48)は対馬市内で取材に応じ「道理にかなった判決だ」と評価し、「一つ区切りが付いたのかなという感じだ。最終的には、対馬に返ってくることが決着になる」と話した。

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