インフル、早期大流行懸念 山形、置賜は注意報レベル

 冬季に流行する季節性インフルエンザの患者が県内で急増し、異例の早期大流行が懸念されている。県が25日に発表した16~22日(第42週)の1医療機関当たりの患者報告数は8.19人で、前週から2.4人増。山形市と置賜地域は注意報レベルの10人を超えている。近年大規模な感染拡大がなく免疫が低下したことなどが原因とみられ、県は早めのワクチン接種と感染対策を呼びかけている。

 県内43の定点医療機関を通じた患者報告数は、保健所別で山形市19.22人、置賜12.75人、村山4.2人、庄内2.67人、最上0.75人。患者352人のうち14歳以下が306人と9割近い。子どもの感染拡大に伴い、9月から今月25日までに計34の幼稚園、小中高校で休校や学年・学級閉鎖の措置が取られた。

 県内の流行入りは新型コロナウイルス禍前の2019年と比べ8週早かった。阿彦忠之県医療統括監は国内外のデータから「新型コロナ感染者が減ると、インフルエンザ感染が拡大する傾向がみられる」と指摘。県内は9月上旬に新型コロナ感染者が減少に転じ、インフルエンザは同18~24日に流行の目安となる1定点当たり1人を上回った。

 国内の流行は、コロナ禍以後の20~21年の冬から2年間はなく、22~23年も小規模だった。阿彦統括監は今年の早期感染拡大の理由を、抗体保有者の減少と、5~7月に感染が広がったオーストラリアをはじめ南半球との往来が活性化し、ウイルスが国内に入る機会が増えたと推測。昨冬に大流行した米国やドイツでは前年に小規模の流行が確認され、日本が同様の経過をたどることを懸念する。

 県は重症化を防ぐため、65歳以上の高齢者や基礎疾患がある人を中心に、早めのワクチン接種を呼びかけている。阿彦統括監は「国内でインフルエンザ感染拡大が抑えられたのは、コロナ予防策の徹底が奏功していたはず」とする。状況に応じたマスク着用や換気、手洗いなどの基本的感染対策を推奨している。

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