大型船受け入れ強化 茨城・常陸那珂港区 岸壁を整備へ

茨城県は国と進める茨城港常陸那珂港区の港湾計画を一部変更し、産業機械などを運搬する大型の「RORO(ローロー)船」が接岸できる新たな岸壁を整備する方針を決めた。同港からの産業機械の輸出は増加傾向にあり、大型船の受け入れ体制を強化することで、今後も見込まれる貨物需要に対応したい考えだ。

整備を目指すのは、中央ふ頭のE岸壁。産業機械を運ぶ大型のRORO船が接岸できるよう、国土交通省と進める港湾計画より30メートル長い330メートルに変更する。水深は14メートル。

RORO船は現在、北ふ頭の3カ所の岸壁を利用している。コンテナ船との共用となっているため、入港の待ちの時間がピーク時は約30時間に上るなど、企業活動にも影響が出ているという。

今後、北ふ頭をコンテナ船向けとするほか、中央ふ頭ではE岸壁と、今年3月に供用を始めたD岸壁をRORO船向けに切り替えることで、港区の混雑を解消したい考え。

RORO船は、トレーラーや建設機械などが自走で船に乗り込み、運搬できる貨物船。クレーンを使わず荷物の積み卸しが可能となるため、輸送・運搬時間の短縮が見込まれる。

常陸那珂港区は北関東自動車道と直結し、産業機械の輸出が増加傾向にある。北米や東南アジアでは、資源高騰の影響もあり、鉱山などでの需要が拡大。同港区の貨物取扱量のうち、産業機械は2022年に過去最高の135万1千トンを記録し、コロナ禍前の19年の125万8千トンより10万トン近く増えた。

計画変更については、9月に開かれた県地方港湾審議会で了承された。今後、国交省の交通政策審議会港湾分科会の了承を経て改定される。

大井川和彦知事は今月18日に同省を訪れ、岸壁の早期整備を求める要望書を斉藤鉄夫国交相に提出した。面会後「国交省も取り組んでいくという前向きな回答をいただいた」と話し、整備への手応えを示した。

県港湾課の担当者は「常陸那珂港区の発展、競争力の強化につなげたい」と話した。

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