県内経済情勢、「緩やかに持ち直し」維持 山形財務事務所、8期連続

 財務省山形財務事務所は25日、最近(10月まで)の県内経済情勢報告を発表した。総括判断は「緩やかに持ち直している」とし、8期連続で維持した。主要3項目では、個人消費が人流増加のほか、猛暑対策もあって各種販売が好調で上方修正したが、生産活動と雇用情勢は下方修正した。

 先行きに関し、皆川修磨所長は、賃上げにより所得環境が改善し、各種政策の効果で景気の持ち直しが期待されると指摘した。一方で「海外景気の下振れが県内景気を下押しするリスクになる」と説明し、物価や金融資本市場の動向に注意する必要があるとした。

 個人消費は「緩やかに持ち直している」から「持ち直している」にした。百貨店・スーパー販売は総菜や日配食品が好調だった。猛暑を受け、コンビニのペットボトル販売、ドラッグストアの日焼け止め販売が伸びた。半導体不足が緩和して乗用車販売も堅調なほか、人流の復活を受けて国内旅行も伸長した。

 生産活動は「持ち直しのテンポが緩やかになっている」を「横ばいの状況にある」に変えた。電子部品・デバイスの自動車向け、スマホ向けが堅調な半面、はん用・生産用・業務用機械は設備投資が落ち着いたため低調だった。食料品は外食向け需要が増加傾向だが、内食向けは値上げによってニーズが減り減産の動きがある。

 雇用情勢は「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に修正した。有効求人倍率が低下を続け、新規求人数は前年を下回っている。企業の収益環境が悪化し、先行き不透明感が強くなっていることが主因。

 3項目以外の判断では、企業の景況感は「下降超幅が縮小」から「上昇超に転じている」に上げ、住宅建設は「前年を上回っている」から「前年を下回っている」に引き下げた。

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