ヤンキースがパドレスのフアン・ソト獲得を目指し、トレードに向けて話し合いを始めているようだ。スポーツネット・ニューヨークのアンディ・マルティーノ記者が報じた。
パドレスがチームの主軸であり、2022年に多くの対価を支払って獲得したソトの放出を検討するまでに至った経緯には少し複雑な事情がある。
今季のパドレスは8月のトレード期限までに大きく負け越しを喫していたものの、あくまでもプレーオフを目指すことを選択。「買い手」に回り、最終的にはわずか2ゲーム差でプレーオフ進出を逃した。
チームがこのような選択肢を選んだ経緯には、パドレス自体の財政状況悪化が絡んでいることが影響していたのが明らかになったのはレギュラーシーズン終盤のこと。現地時間9月25日、サンディエゴ・ユニオン・トリビューン社のケビン・エイシー記者はチームの債務がかさんでいることを背景に、現在2億5000万ドルまで膨れあがったチーム年俸を2億ドルまで圧縮する方針を取るだろうと報じた。
現在のパドレスはマニー・マチャドやフェルナンド・タティスJr.、ザンダー・ボガーツらとの大型契約を結んでおり、彼らの年俸を負担せずにトレードに出すことはかなり難しい。となると、2024年オフにFAとなる上来季の年俸調停金額が3300万ドル前後(MLBトレードルーマーズより)と予想されるソトを放出するという選択肢は現実的に考えられるもっとも容易かつ大きなコストカットだ。
一方で、MLBの契約に関するニュースサイト「MLBトレードルーマーズ」のアンソニー・フランコ氏はコストカットを進めながら引き続き上位進出を目指すと見られるパドレスに取ってソトの流出はあまりにも大きな痛手となると指摘している。フランコ氏はもしコストカットを進めるにしてもソトの放出は必須ではないとした上で、ほかの選択肢、たとえばキム・ハソンやトレント・グリシャムらをトレードで放出するというパターンも考えられると指摘した。
また、以前パドレスのAJ.プレラーGMはソトのトレードも考えなくはないが、まずは契約延長が第一であるとMLB公式のAJカサベル記者のインタビューに対して語っていたようだ。
つまり、これらの情報を総合するにヤンキースのソト獲得はあくまでも数ある選択肢の一つにすぎないと見た方がよいだろう。そもそもヤンキースがパドレスを交渉の席に付かせるようなオファーを提示できるかどうかは不透明だし、当然ながらソトを獲得したいと考える球団は数多くある。たまたまヤンキースの名前が最初に上がってきただけだ、とフランコ氏は指摘している。
現状確かなことは、今後オフシーズンが進むにつれてソトに関連する動きがストーブリーグを賑わせるであろう、ということだけなのかもしれない。