漂流船から乗組員を救助! 串本海保が和歌山東漁協の組合員3人に感謝状、和歌山

大きく傾いた引き船(和歌山県串本町樫野沖で)=串本海上保安署提供

 和歌山県串本町の紀伊大島沖でエンジンが停止して漂流していた船から乗組員を救助したとして、串本海上保安署は20日、和歌山東漁協の組合員に感謝状を贈った。

 表彰を受けたのは、いずれも串本町樫野在住で同組合副組合長の堀口文明さん(56)、組合員の鈴木誠さん(46)と広浦清弘さん(53)の3人。

 串本海上保安署によると8日午後1時46分ごろ、紀伊大島の東の沖合で、台船をえい航していた引き船が、エンジンや発電機が止まり約30度傾いた状態で漂流。串本海保から連絡を受けた堀口さんらが漁船で現場に駆け付け、乗組員3人を救助した。3人にけがはなかった。

 この日は雨が降っていて、海上は風速15メートルの強風とうねりを伴った4メートルほどの高波があった。引き船に漁船を横付けできなかったため、乗組員が救命胴衣を着用しているか確認した上で海に飛び込むよう指示し、浮きを付けたロープで1人ずつ引き上げた。

 操船していた鈴木さんによると、風の影響で船が島へ向かって進んでいたという。「目と鼻の先まで島が近づいてきていて、操縦も言うことを聞かず慌てた」と振り返る。

 感謝状の授与式は同町樫野の和歌山東漁協樫野支所であった。串本海保の登山愼一郎署長が3人の功績をたたえて感謝状を手渡した。

 堀口さんは「海の事故でけがをする人、命を落とす人を一人でも減らしたいという思いがある。今後も協力したい」と話した。

 登山署長は「普通であれば漁船が出航できない海象の中、すぐに出動し、救助してもらえて感謝しかない。今回の救助は、あの状況下では最良、最大限のやり方だったと思う。沿岸部は巡視船が近寄れない所も多いため、引き続き協力をお願いしたい」と述べた。

感謝状を受けた(前列左から)堀口文明さん、鈴木誠さん、広浦清弘さん=和歌山県串本町樫野で

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