レッドブルF1代表、ペレスがチーム残留のために『選手権2位でシーズンを終える』という取り決めはないと主張

 レッドブルF1のクリスチャン・ホーナー代表は、セルジオ・ペレスの将来についてふたたび事実関係を明確にし、ペレスには2024年のレッドブルのシートを保持するためにドライバーズ選手権を2位でフィニッシュする義務はないと主張している。

 ペレスはこの数カ月にわたってうわさの渦中にいる。今シーズンのペレスは苦戦が続き、グリッドでも最速のマシンを与えられながら、トップ集団でチームメイトのマックス・フェルスタッペンと競うことができていないからだ。ペレスは2023年シーズンに素晴らしいスタートを切り、シーズン開幕からの4戦ではフェルスタッペンと勝利を分け合っていた。しかしモナコGPの予選でのクラッシュをきっかけに下降スパイラルに陥り、そこから抜け出せていない。

 ホーナーは、ペレスがレッドブルと来年末までの契約を結んでいると繰り返し述べている。しかしレッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコは、ペレスが成績を上げなければ変更もありえるとほのめかしており、レッドブルには必要な場合にペレスのシートをすぐにでも引き継ぐことができる角田裕毅、ダニエル・リカルド、リアム・ローソンの3人のドライバーがいることを彼に再認識させている。

 先週末のアメリカGP前には、ペレスが選手権で2位の座を失った場合、彼の時間は限られたものになるだろうというさらなるうわさが飛び交った。4レースを残すところ、ドライバーズ選手権ではルイス・ハミルトン(メルセデス)がペレスに39ポイント差まで迫っている。

2023年F1第19戦アメリカGPスプリント 優勝マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2位ルイス・ハミルトン(メルセデス)、3位シャルル・ルクレール(フェラーリ)

 しかしホーナーは、そのようなパフォーマンス関連の条項がペレスに対して今年末に適用されることはないと否定し、「そのような事前の取り決めはない」とオースティンで語った。

「我々は選手権を1位と2位でフィニッシュしたことがない。マーク(・ウエーバー)とセバスチャン(・ベッテル)の時代に何度か1位と3位でフィニッシュし、昨年はマックスとチェコ(セルジオ・ペレスの愛称)がそうだった。だからこのマシンでこれほどのシーズンを過ごしたなかで、1位と2位でフィニッシュできるのなら素晴らしいことだ」

「だが、2位にならなければ来年のシートはないというような事前の取り決めをチェコと交わしてはいない。そのような話し合いは一切していない」

 ホーナーは、今年初めにそうだったように、ペレスがフェルスタッペンに匹敵するパフォーマンスを発揮する能力を持っていることに疑問はないと主張しているが、ペレスには先頭集団で戦うための適切な“思考”が欠けていると語った。

「我々はチェコのことをわかっている。1年の始まりの頃のチェコのパフォーマンスを見てみれば、たとえばバーレーンではマックスと非常に拮抗していた。サウジでのレースは、ふたりが僅差で互いに激しくプッシュし合う最高のレースだった」

「アゼルバイジャンでは、彼はスプリントとグランプリで優勝した。我々が知っているのは、そうしたレベルのパフォーマンスを発揮する能力が彼にあるということだ。彼の心構えをその時の状態に戻し、力を最大限に引き出してあのレベルのパフォーマンスを取り戻すことがすべてだと思う」

「マックス・フェルスタッペンのチームメイトでいることは、ピットレーンで最も難しい仕事だろう。彼は常にあれほどの高いレベルでレースをするからだ。それに対応できるようになるには、データを見るたびに『すごい、彼はどうやっているんだろう?』という感じの精神的な適性がいるだろう。そうするにはある種の性格の強さが必要だ」

「過去3年から4年、彼はこの調子を出してきた。それはグリッド上のどのドライバーにとっても厳しいことだろう」

2023年F1第19戦アメリカGP セルジオ・ペレス(レッドブル)

 ペレスの将来がどうなるかは別として、ホーナーはふたつ目のシートを埋める必要が出てくる2025年に関して、チームの観点から懸念はないと語った。

「確かに選択肢には不足がない。もちろん検討と評価を行う時間は十分にあるが、非常に多くの要因が関係している」

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