来年のえと 天見上げる竜を窯出し 倉敷・天神窯 香合200個

窯出しした辰の香合を確認する岡本さん

 倉敷市の陶芸家岡本篤さん(79)が26日、自宅の天神窯で来年のえと・辰(たつ)にちなんだ香合を窯出しした。希望に満ちた新年を願い、鎌首を上げ天を見上げる竜をかたどっている。

 香合は高さ5.5センチ。鋭いまなざしや長いひげ、爪などを彫刻で表現している。えとにちなみ「辰砂(しんしゃ)」と呼ばれる釉薬(ゆうやく)を使い、深みのあるあずき色に仕上げた。

 26日午前、約30時間かけて焼き上げた約200個を窯出しし、一つ一つ手に取って出来栄えを確認した。「思った通りの色が出た」と岡本さん。「力強さと冷静な洞察力を兼ね備えた辰にあやかり、物事の本質に迫る年にしたい」と話した。

 えとの香合は、岡本さんの父・故欣三さんが1948年から制作に着手。岡本さんが引き継ぎ、今回が76作目となる。27~29日、同窯で開く新作展で披露する。

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