「診療所減らさないで」 相模原の中山間地域、市の統廃合構想に住民反対 受診者数減少や医療従事者確保が課題

「診療所を減らさないでほしい」と訴える「中山間地域の診療所存続を求める会」のメンバー=相模原市中央区

 相模原市緑区の中山間地域(津久井、相模湖、藤野)の医療の在り方を巡り、議論が巻き起こっている。人口減少や高齢化が進む同地域では受診者数の減少や医療従事者の確保が課題で、市は診療所を統廃合し、訪問医療やオンライン診療を進める構想を掲げる。

 一方、地元住民からは診療所の減少に対して反対の声が上がり、存続を求める署名活動も展開されている。持続可能な医療体制をどう構築するのか、解決の糸口は見えていない。

 津久井、相模湖、藤野地域には市所管の診療所が各2カ所、計6カ所あり、それぞれの診療所では医師1人、看護師2人で診療を行っている。

 しかし、人口減少で受診者数が減り、2020年度は6診療所で約1億円の赤字となった。さらにどの地域でも高齢化が進み、近年は通院困難や医師の確保が大きな課題として持ち上がっている。

 市が21年に中山間地域の住民を対象に行ったアンケートでは、約7割が自家用車で通院していると回答。一方、在宅医療の充実を望む声は8割強に上り、うち約9割がその理由に「通院が困難または難しくなる」「高齢化の進行」を挙げたという。

 こうしたことから市は昨年、中山間地域の医療の在り方について基本方針案を策定。診療所6カ所に医師1人ずつを配置している現在の体制から、3カ所に2人ずつ置く体制に移行する考えを示した。また、オンライン診療も併用しながら、外来、訪問診療を行う構想も明らかにした。

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